高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2019
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でしょうか」(同) 例えばPTAの行事として、保護者たちの仕事を見せるような企画を学校にもち込み、外の風を学校に吹き込む手もあると言います。そうしたアイデアは、実は保護者の方がもっているかもしれません。 また、保護者以外の大人との接点をつくることも、子どもが将来のビジョンをもつことに役立ちます。 「例えば震災後のボランティアに親子で参加した生徒などは、その後の生き方に大きな影響を受けて帰ってきます。子どもは学校の中だけで成長するのではないと、思った方がいいですね」(同) 子どもが学びたいことを見つけて、志望校を探し、そこに入るためにもっと勉強したいと言ったときに、保護者には教材を購入したり、塾や模試のための金銭的な支えも必要となります。忙しくしている子どもが、毎日元気で学校に通えるように健康管理をしてあげるなども保護者の役割です。直接勉強に口は出さずとも、子どもの学びへの意欲を高めるために、保護者の役割は物心共にたくさんあるのです。 クラス内での順位や模試の成績で、保護者も子ども自身も一喜一憂しがちなもの。成績が下がって本人が落ち込んでいれば保護者は心配になりますし、下がっているのに遊んでばかりいると「勉強しなさい」と言いたくなります。 しかし、46ページの佐々木先生の話のように、「将来これをするために学ぶ」「今学んでいることは、自分のやりたいことにつながりそうだ」という、勉強へのモチベーションが子ども自身から湧き上がってくることが、勉強が身に付く最も大きなエンジンになるようです。 勉強するのも、将来の進路を決めるのも子ども自身。保護者が関わるべきことはないように思えます。しかし、今の時代に保護者の役割は大きいと佐々木先生は言います。 「子どもたちが将来のビジョンをもつためには、今の世の中がどうなっていて、社会には自分にとってどんな可能性が広がっているのか知る必要があります。学校では情報として与えることはできても、リアルな体験をさせるには限界があります。それができるのが、社会人として活躍している保護者です」(佐々木先生) ほとんどの保護者は職業をもっています。学校の中だけにいると、子どもたちは「教員という職種の社会人」しか知ることができませんが、保護者が集まれば、多様な社会と生徒たちをつなぐ窓口となれる可能性があるのです。 「そのために、家庭の中でも、保護者自身の仕事の話を子どもにしてほしいです。子どもが社会人となったときに保護者はまだ現役で働いています。60歳以降も働き続けることが普通になる社会で、また将来の予測がつきにくいこれからの10年先、20年先、保護者自身が、自分自身の、そして家族のライフをどのように送ろうとするのか。子どもと一緒に対話し考えてほしいと思います。15歳は既に、家族や仕事を共に語り合うのに十分な相談相手ではないでしょうか。 また、保護者はもっと先生や校長と対話するとよいと思います。子どもの教育に対して、学校が『主』で家庭が『従』ではなく、パートナーと考えた方がよいのではない「勉強しなさい」の声かけは言ってもよいが効果なし保護者は社会と子どもをつなぐアクセスポイント子どもが自立できるようさまざまな役割がある● 睡眠時間や食事など、不規則な生活にならないように生活リズムの応援● いつもと様子が違って落ち込んでいたら、声をかけてみる● 模試を受ける際にその都度費用の準備● 塾やWeb学習サービスをやりたいと言ったときの費用の準備● 保護者の仕事や生き方に子どもが興味をもってきたときに話してあげる● 保護者以外の大人に会わせたり、旅行に行くなど、 学校ではできない経験や社会を見せる機会をつくる● 子どもと社会をつなぐ授業がなければ、学校に協力するなど働きかけるこれからのわが子が歩む道が少し見えてきたでしょうか?今の時代に、保護者が子どもの学びを支援する方法を考えてみましょう。48for Parent 2019

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