高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2019
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(母と娘の会話)(子どもの部屋に洗濯物を持って入ってくる母親。子どもは慌てて机に覆いかぶさる)成績が上がるよう頑張ると約束したのに、できていないと責めているように聞こえます。成績が良くないから親に見られたくなかったのですね。まるで、取り調べのようですね。心配な気持ちは、伝わっていませんね。「成績が下がってしまってマズイ」と自分でも思っていても、その気持ちを言えないままになってしまったかもしれませんね。――成績表を見られたくなかったのに、見られてしまったようです。 「お母さんは、子どものことが心配なのですね。でも、これは、子ども自身が困っているケースかも。成績が良くないことを親に知られたくなかったのでしょう。まず、子どもの気持ちをしっかり聞くことが大事です」(瀬川先生)〈おすすめの会話例〉親「そうか、成績が下がっているから、お母さんに見られたくなかったんだね」(気持ちをくむ)子「……」(黙っているかもしれないですね)親「得意な英語まで下がって、不安なんだね。もしかして焦ってる?」子「もっとちゃんとやらなきゃいけないって自分でも思ってる」(と言うかもしれません)★ 「不安に思ったり焦ったりしていることを理解してもらえたら、子どもは安心できます。気持ちをくんでもらえると反発はしにくいものです。その時には、黙ってしまうかもしれないし、すぐには、変化は起きないかもしれませんが、心の中の変化を待って、焦らずに見守りましょう。自分のことを理解し信じてくれる人は裏切りたくないものです。そのうち、自主的に勉強するなど行動の変化が現れるかもしれません」(同)――「授業についていけてるの?」など、質問するのはどうなのでしょう。 「尋問のように問い詰められたら誰でも口を閉ざしたくなりますよね。何かしゃべったら、『塾には行ってるのか』『宿題は提出しているのか』と、質問がエスカレートして、ますます窮地に追い込まれるかもしれないと黙ってしまったのではないでしょうか」(同)――心配していても、その気持ちは伝わらないということですね。 「例えば、同じことを自分が言われたらどう感じるか考えてみるといいと思います。大人も子どもも同じです。立場をかえて考えてみることで、気付けることも多いと思います」(同)――思わず言ってしまったら、どうしたらいいのでしょう。 「言ってしまったら、全部だめになるというわけではないです。それがきっかけで会話が生まれたら、そこから始めてもいい。相手の言いたいことを理解しようとすれば、どういうきっかけからでも回復できると思います」(同)子どもが困っているときは、気持ちを聞く尋問や質問攻めでは誰でも話したくなくなる52for Parent 2019

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