高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2019
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「大学入学共通テスト」が導入されるのは2020年度からですが、大学個別の入試も見直され、一部の大学では既に変化が見られ、メディアでも話題になっています。 これまでの一般入試は 「一般選抜」 に名称が変わり、筆記試験に加え、「調査書や志願者本人が記載する資料等を積極的に活用する」という方針が示されています。また、AO入試は「総合型選抜」、推薦入試は 「学校推薦型選抜」 と変更。いずれも、調査書等の出願書類だけでなく、各大学が実践する評価方法、または「大学入学共通テスト」のうち、少なくともいずれか一つの活用が必須化されます(下図参照)。つまり、どの選抜方法でも学力の3要素をしっかり見るというメッセージです。 これに加え、現在の大学では学部ごとに、どんな学生を受け入れるのか(アドミッション・ポリシー)、どんな教育をしようとしているのか(カリキュラム・ポリシー)、大学4年間でどんな力をつけようとしているのか(ディプロマ・ポリシー)という3つのポリシーを策定し公表することとされています。本来、大学選びは偏差値ではなく、子どもたちの資質に合い、学びたいことで選ぶべきで、その選択がしやすいように変わってきているのです。個別の入学者選抜では、各大学のアドミッション・ポリシーに合った生徒か、入学にふさわしい学力の3要素を身につけているかを問おうとしています。 既にこうした入学者選抜を始めている大学もあり、主な大学の個別入試の内容を次ページ以降で紹介します。特に、「大学入学共通テスト」やペーパーテストでは問いにくい、「主体性・多様性・協働性」をどのように評価していくかに、各大学の特色が現れています。志願書で高校時代の活動を詳細に求められたり、自分の考えに基づいた論述や口頭試問を行ったり、面接だけでなく集団でのディベートやプレゼンテーションを課している大学もあります。 主体性の評価というと、ボランティア活動や生徒会活動に参加すればいいと考えられがちですが、活動したかどうかだけではなく、そこから何を学びとったか、その経験を今後大学での学びや社会でどう活かしていきたいかという、学びに向かう姿勢も問われています。 保護者の時代と大きく異なる入試に戸惑いを感じるかもしれません。しかし、昔のように知識の量のみを問われるのではなく、子どもたちがもつさまざまな資質や能力を見ようとしてくれているのです。こうした多面的評価はむしろチャンスが広がったと受け取れるのではないでしょうか。主体性を評価するために志願書・調査書が重視される図 大学個別入試の主な変更点●出題科目が1~2科目に限定●記述式問題の出題なし、評価不十分●英語:「話す」「書く」の評価がない● 知識・技能の修得状況に過度に重点をおいた選抜としない● 原則として学力検査を免除❶ 筆記試験に加え、調査書や志願者本人が記載する資料等の積極的な活用❷記述式問題の導入・充実❸英語 4技能評価の導入❶左記記述を削除❷ 本人の記載する資料 (活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書等) を積極活用❶ 各大学が実施する評価方法、または「大学入学共通テスト」の少なくともいずれかを必須❷ 推薦書で 「学力の3要素」を評価「大学入学共通テスト」では、子どもたちの「思考力・判断力・表現力」を問う設問が増えていきますが、一斉に実施するペーパーテストで評価できることには限界があります。そこで、「主体性・多様性・協働性」は主に大学ごとの個別選抜で問うことになります。既に変わりつつある大学の個別入試についても、その変化を見てみましょう。8for Parent 2019

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