キャリアガイダンス保護者版2020
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う力・人間性等」がソフトスキルに重なりますが、それをどのように評価するかが最も難しく、わかりにくいところだと思います。なぜなら場面や状況によって評価が変わるからです。例えば「あの人は協働性があるよね」と言われても、同意しない人もいるかもしれない。リーダーシップも大事な力ですが、全員がリーダーではまとまらないので、「リーダー役もできるけれどここではフォロワーになっておこう」と判断する場合もあります。粘り強く物事に取り組む力も、あればあるほどいいというものではない。つまり、評価には、場面ごとの子どもの情報をたくさん集める必要があるのです。 大事なのは、その評価によって子ども自身が自分の理解度や長所・短所に気づくこと。それを「メタ認知」と呼ぶのですが、メタ認知ができるようになると、勉強の仕方を試行錯誤して、次の成長への創意工夫ができる。つまり「学びに向かう力」につながります。部活業も行われています。 ソフトスキルを育むためにより重要視されるべきなのが、ホームルームなどの特別活動。ホームルームは本来教育活動にはとても大事な時間で、例えば最近話題になっている「ブラック校則」について、子どもたちが客観的に考えておかしいと思ったら、みんなで話し合って、学校に提案して変えていけばいい。それは今後、社会に参画して、社会を変えていく力の基盤になると思うのです。 身に付けるべき資質・能力や教育内容が変わると、気になるのはそれが学校の成績や入試できちんと評価されるのか、ということだと思います。そこで、従来のようにペーパーテストの点数だけでなく、多面的・多角的に子どもたちを評価しようとしています。それを表したのが図4です。 資質・能力の中で「学びに向か動でスポーツにしても、楽器の演奏にしても、もっとうまくなるためにどうしたらいいか考えて練習しますよね。それと同じなのです。 また、ポートフォリオという、子どもたち自身が自分の学びの足跡を記述し、蓄積していく試みも始まっています。子どもたち自身が、自分がどんなふうに学んで成長してきたかを振り返ることができるツールで、これもメタ認知につながります。 「大学入学共通テスト」で英語民間試験や記述式問題が白紙になり、「マーク式だけならセンター試験と変わらないのでは?」と思われた方もいるかもしれません。しかし、今までお話ししてきたように、これからの時代に求められる資質・能力が従来とは変わるため、冒頭の日本史の問題のようにマーク式でも「なんとなく知っていればできる」ような問題ではなく、「深く理解していたり、よく考えないとできない」問題に変わり、センター試験よりも、より高次の「思考力・判断力・表現力等」が求められるようになるのです。 また、大学個別の選抜試験では、学校が評価した評定や所見(調査書)だけではなく、生徒本人が作成したポートフォリオ、個別の学力試験や面接、志望理由書なども活用しながら、より多面的に評価するようになっていきます。 子どもたちにとっては、「知識・技能」だけでなく、多様な良さやがんばりを評価してもらえるのがこれからの入試、そして教育です。これはチャンスとも言えるのではないでしょうか。 家庭では、子ども自身が自分のもつ力や良さを認められるような声がけやサポートをたくさんしてあげたいですね。例えば、「勉強しろ」ではなく「最近学校の授業で面白かったことは? それはどうして?」などと質問することで、本人が自ら気づくきっかけをつくるといいですね。学力に対する価値観も違ってきているので、それを柔軟に受け止めて、自分の考えを子どもに押し付けないことも大切です。保護者に求められること知識・技能以外の力をどのように評価するか教育改革は子どもの多様な力を評価してあげるため11for Parent 202015年後の社会でわが子に必要な力とは

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