キャリアガイダンス保護者版2020
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座って待って聞くだけでなく自ら考え、生徒同士が学び合う授業に高校教育は変わりつつあるんです。 右のQの答えはなんとわずか18・3%。対象の9カ国で歴然たる最下位です(図5)。「何かを成し遂げられる」という自己効力感が、日本の若者はなぜこんなに低いのでしょう。そこには教育の責任があると痛感します。だからこそ、日本の教育は変わろうとしています。 これまで高校は、大学に入るための教育をする場だと捉えられがちで、難関大学に何人進学させたかで高校の価値がランキングされることもしばしばでした。しかしもちろん、大学進学だけが高校教育の目的ではありません。大学の先の社会まで見通して、自分のもっている力をどれだけ社会で使える力にしていくかを身に付ける場が高校なのです。 本校(大妻嵐山中学・高校)の説明会でも、大学への進学率を気にされる保護者の方が多かったのも事実です。けれどこういう話を私がすると「社会に出てからのことも考えなければいけないのですね」という感想を書いてくださる方がここ最近とても増えてきました。 では、高校はどう変わっていったらいいのか。 社会で役立つ力を育むために、これからの社会はどう変化していくかを考え、そこで求められる力は何かを国全体で考えたのが、新しい学習指導要領です。 時代の変化が速すぎて予測ができないのであれば、どんな時代になっても生き抜ける力が必要です。物事を知っているだけではダメで、知っている知識を使い、自分の頭で考えて、身近な課題を解決していく力が求められていきます。 私が生徒たちにいつも言っているのは「知ること、考えること、行動すること」の3つの力が大事だということ。学習指導要領で言われ奈良女子大学理学部生物学科卒業。上越教育大学大学院学校教育研究科修了(教育学修士)。埼玉県内の公立中学校・県立高校で生物教員として従事し、埼玉県立総合教育センター主席指導主事、県立高校長などを経て、2014年より現職。大妻嵐山中学・高校(埼玉・私立)校長真下峯子先生出典:日本財団「18歳意識調査‒国や社会に対する意識-」2019年 調査対象国:インド・インドネシア・韓国・ベトナム・中国・イギリス・アメリカ・ドイツ・日本社会が求める力を育むために授業は変わり始めている3時間目高校教育保護者のための特別授業取材・文/長島佳子

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