キャリアガイダンス保護者版2020
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ている資質・能力の三つの柱(10ページの図3)はそういうことだと私は捉えています。 考えて行動することまで網羅しようとすると、従来のように先生からの講義型の授業だけでは身に付けることができません。だから今の学校は、「アクティブ・ラーニング」(以下、AL)や「探究」の授業に意欲的に取り組もうとしているのです。 ALとは「主体的・対話的で深い学び」のことです。「主体的」とは子どもたちが興味をもって、学びに取り組む姿勢。「対話的」とは、先生からの一方通行ではなく、仲間や先生、地域の人々などと対話し、意見交換することで、自分にはなかった新たな発見をすること。「深い学び」とは、もっている知識を結びつけて、問題の解決策を考えたり、新しい考え方を生み出すことです。 難しく言いましたが、保護者の方々には「先生が教えてくれることを子どもたちが待って、黒板に書かれたことをそのままノートにとって覚える授業ではありません」と説明しています。 私の学校では、中学受験の説明会に来る小学生たちに、ALを体験してもらっています。模擬授業をするということではなく、冒頭で「今日の説明会でメモをとってください。そしてメモをとったことを保護者の人に話してみてください」と言います。人の話をメモするには、聞いて、何が大事な部分かを自分で考えて判断し、書き取る力が必要で、さらにそれを人に伝える=行動することまでの一連の体験ができます。それは社会に出てからも必要となる、基本的な力ですよね。それがALのねらいです。アウトプットしなければならないので、わからないことがあったら質問したり、調べたりと、待っているだけでなく自分から学ぼうとしないとできない学び方なのです。 探究とは、世の中にある課題を解決するための基礎的な力を育む、社会生活につながる授業です。従来の「総合的な学習の時間」に代わって「総合的な探究の時間」としてスタートしています。 まずは自分と向き合って、何について探究するか自分の興味関心を考えて、解決すべき課題を探します。課題が決まったら現状や解決につながることについてさまざまな方法で調べて、集めた情報を分析して、自分なりの解決策を発表するのが基本的な流れです。自分なりの答えでいいので、正解はありません。 探究の授業の進め方もさまざまで、個人で進める場合もありますし、グループで行う場合もあります。グループで探究を進めることで、仲間と共に物事に取り組む協働性が身に付くだけでなく、グループ内で役割分担することで、自分や仲間の得意分野に気付くことができます。自分から学ぼうとする力を育むのがALのねらい自ら課題を見出し、解決策を探る〝探究〞「主体的・対話的で深い学び」の授業出典:日本財団「18歳意識調査ー国や社会に対する意識ー」2019年 上:仲間と協働して意見交換することで、自身を相対化できる(奈良女子大学附属中等教育学校の一例)。中:個人で頭をフル回転させ、考えたことを先生や仲間に話してアウトプットする(福井県立若狭高校の一例)。下:自分で考えた英語文をみんなの前で発表し、お互いの良い点を伝え合う(北海道立釧路東高校の一例)。図5 自分で国や社会を変えられると思う (「はい」の回答者割合) 各国のn=100013for Parent 202015年後の社会でわが子に必要な力とは

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