キャリアガイダンス保護者版2020
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付箋を使いながら意見を出し合いまとめていく学生たち(産業能率大学)る取組を展開しています。 さらに、学ぶ内容も変化しています。これからの時代に必要になる汎用基礎能力のうち、カギとなるのが「グローバル」です。国内外のどこにいようとも多国籍の人とコミュニケーションをとりながら協働することになる今後は、英語が使えるかどうかで仕事の幅が変わってきます。ただし、英語ができるだけでは不十分で、英語で何ができるかという「グローバル×専門」の能力が問われます。こうした社会のニーズを受け、グローバルな人材を育てる方向へと舵を切る大学が増えています。保護者世代には「海外留学や英語習得=文系の学生が中心」という印象があるかもしれませんが、今や文理関係なく、語学だけではない「グローバル」な視点や知見が求められているのです。図7に挙げた大学・学部は一例ですが、教育理念や実際のカリキュラムに「グローバル」の視点があるかどうかというのは、進学先選びの際にぜひ注目していただきたいポイントです。 2つ目のカギは、「データサイエンス」です。データを科学的に用いて社会に有益な知見を生み出すのがデータサイエンスで、医療分野で画像診断にAIを活用するなど、さまざまな分野と掛け合わせることで価値を生み出します。2017年度、日本で初となるデータサイエンス学部が滋賀大学に誕生しました。2018年度には横浜市立大学に、2019年度には武蔵野大学にも設立され、人気を集めています。データサイエンティストは、世界的に今、最も注目されている職業の一つですが、データサイエンスについて専門的に学ぶ道だけが選択肢ではありません。グローバルと同じく、これから求められるのは「データサイエンス×専門」の能力です。例えば富山大学では、2020年度から全学部の学生に、数理・データサイエンス教育を必修化します。既存の学問分野を学びつつ、汎用基礎能力の一つとしてデータサイエンスを学べる。そんな大学が今後ますます増えることが予想されます。 これからの社会で重要になるであろう汎用基礎能力として、「グローバル」と「データサイエンス」を挙げましたが、大切なのは、偏差値やブランドではなく「どこで学べばわが子が最も伸びるか」という視点で大学を見ることです。 そして、大学の教育内容や特長を知るために有効なのが、各大学が公表している3つのポリシー。どのような人材を育てることを目指しているかを記した「ディプロマ・ポリシー(DP)」、具体的にどのような教育を行っているかを記した「カリキュラム・ポリシー(CP)」、そして、どのような資質・能力を入学者に求めるかを記した「アドミッション・ポリシー(AP)」です。図8の例を見るとわかるように、同じ学部でも大学によって目指す方向やコンセプトは異なります。わかりやすい言葉では書かれていないケースも少なくありませんが、大学のホームページや学校案内を見て、親子で読み比べても良いか偏差値・ブランドよりも教育内容と相性を大切に身につけるべき汎用基礎能力はグローバルとデータサイエンス図8 同じ学部名でもポリシーに大きな違いがあることもA大学 経営学部B大学 経営学部DP●グローバルビジネスパーソンの育成● 難関資格の取得●就職率9割達成CP● 企業と連携した実践的なプロジェクト型授業の展開●海外留学の必修化●専門科目の2割を英語で開講● 資格対策講座、公務員対策講座の充実●地元企業へのインターンシップ充実●ICT教育の充実AP● グローバル教育への意欲や関心をもっていること(その確認のための面接や小論文を入学者選抜で義務化)● 外部英語試験の成績優秀者は一部試験免除● バランスの良い基礎学力をもっていること●指定校推薦枠の積極的活用17for Parent 202015年後の社会でわが子に必要な力とは

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