キャリアガイダンス保護者版2020
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もしれません。大切なのは、「自分は大学で何をどう学び、どうなりたいか」というわが子の希望と「大学のDP・CP」が近似した大学を選ぶこと。注目すべきは大学の偏差値ではなく、3つのポリシー、そして何よりわが子の意志なのです。 各大学のAPを具現化したものが、大学の個別入試です。大学の多様化に伴い、個別入試も多様化しています。まず、国公立大学も含めてAO・推薦入試(2021年度からは総合型選抜・学校推薦型選抜に改称)による入学者の割合が年々増えています。その背景には、多様な人材を集めたいという大学の狙いがあり、入試の方式や問題からは大学の思惑が感じ取れます。また、AO・推薦入試のなかでも近年は、教授の講義を受けて皆で議論したり、資料を活用しながら複雑なテーマを論じたりと、大学での学びに適合するかを問う高大接続型入試を実施する大学も増えています。入試には合否がつきものですが、受験生をふるい落とすためのものではなく、「こんな学生が欲しい」という大学・学部と「こんな大学・学部で学びたい」という受験生をマッチングするためのものだという視点も忘れないでいただきたいと思います。 保護者の皆さんには、進路の「正解」を示す案内役ではなく、ぜひ「ツッコミ役」になってほしいと思います。進路を決める際には、「なぜ、その学問・職業分野を学ぶのか」「なぜ、その学校なのか」「なぜ、そう考えるに至ったのか」の3つの「なぜ」に答えられるようになることが重要です。保護者からの「なんで?」というツッコミが、子どもが3つの「なぜ」について考えるきっかけになるのです。保護者に求められること学力だけの合否判定は減少し、各大学が特色ある入試を実施 2018年度より高校時代に取り組んだ地域課題に対する活動や大学で学びたいこと、将来のビジョンなどについての「課題レポート」を課す「新思考入試(地域連携型)」を一部の学部で実施。さらに、2021年度の一般選抜、大学入学共通テスト利用入試では、全学部においてWeb出願時に受験生が「主体性・多様性・協働性」に関する経験を記入することが要件に。また、統計学や数理的アプローチが必要になる政治経済学部では、2021年度入試より大学入学共通テストの「数学Ⅰ・数学A」を必須受験科目とするなど、大学が求める人物像や入学後の学びの実態に即した入試内容へと変わってきている。 「新フンボルト入試」では、プレゼミナールで大学の授業を体験し、そのレポートと提出書類で1次選考を行う。2次選考では、文系は大学の附属図書館の文献や資料を使ってレポートを作成し(図書館入試)、理系は実験や課題研究発表を行う(実験室入試)。学力試験は行わず、グループ討論や面接の様子も含めて総合的に評価する。 国立大学のなかでも早くからAO入試(総合型選抜)に力を入れ、2020年度は定員の25%をこの方式で募集。例えば農学部の面接試験では、実施前に課す小作文と出願書類を参考に、農学への関心度と知識、発想の柔軟性と豊かさ、表現力、行動力、協調性などを総合的に評価する。高い水準の学力が求められるのも特徴。 高校生が大学の通常授業に参加して1日を過ごすWEEKDAY CAMPUS VISIT(またはWEBでの模擬講義)、受講後のレポート提出、専任スタッフによる面談などを出願前の育成プログラムで実施。面談では学びへの意欲や学部・学科とのマッチングを確認し、面談結果はスタッフから高校の先生にフィードバックされる。ミスマッチを解消したうえで育成型入試に出願できる仕組み。18for Parent 2020

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