キャリアガイダンス保護者版2020
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卒業後の進路の話は遠い先のことに聞こえるでしょう。しかし、進路は「3年生になって決める」のではなく「3年かかって決める」もの。多くの高校では、春から適性診断や仕事・学問調べなどを通じて進路について考えさせ、秋には文理選択の最終調査を行います。文系に進むと理系学部受験に必要な科目が履修できない場合があるなど、文理選択は後戻りが難しい大事な分岐点です。保護者も子どもの考えをしっかり確認しておくことが大切です。 こうして早くも大きな選択を迫られますが、職業や学問に関する高校1年生の知識は豊富とはいえません。資格系の職業を目標にあげる子どものなかには、就職の有利さなどで短絡的に考えている場合もあります。 「1年生は進路を絞り込むより、可能性を広げたい時期。子どもの興味の周辺にある多様な仕事について家庭で話すなど、子どもの視野を広げるよう意識するとよいでしょう」(同) また、今年度から大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」がスタートします。学校から提供される大学入試情報などに、保護者もアンテナを張っておくと安心です。次年度の文理コースや履修科目について最終的な選択を行う。あとからの文理変更は実質困難な場合が多く、入試でも不利になるため、しっかり考えたうえで提出する。多様な大人から直接、職に就くまでの道のりや仕事のやりがいなどを聞く。高校生活にしか目が向いていなかった子どもも、視野が広がったり、働くとはどういうことかを考えたりするきっかけになる。1年秋は学力が大きく動く時期。高校生活に慣れてきたところで、しっかりした学習習慣・生活習慣が身に付けられた子どもは、成績が伸びやすい。1年生から数回実施されることも。自分の得意・不得意分野を把握する。書類には保護者の確認・捺印が必要。選択の理由を確認したうえで捺印を。子どもの考えに対し保護者として意見を言うのは悪いことではありませんが、あくまで子ども自身に選択の主導権があるということを忘れず、価値観を押し付けることのないよう注意しましょう。子どもの考えを聞く身近な社会人として、仕事の経験や社会の動きなどについて積極的に話すことで、子どもの視野を広げることができます。学校での社会人講演会などの実施を機に、「どんな話だった?」「どう感じた?」などと話題にするのも効果的です。仕事や社会について話す※学校行事はモデルケースです。程良い距離感で、子どもの主体的な選択・行動を後押し自立に向けて大きく成長する高校時代。保護者も親子コミュニケーションを見直す時期と言えます。保護者へのアンケート結果からは、さまざまな関わり方で子どもの主体的な選択・行動を後押し、自立を促している様子が浮き彫りになりました。「たとえ失敗しても、挑戦したり、やりきったりしたことを褒める」(山梨県)「まずは自分で考え、行動させる。助けを求めてから手を貸す」(青森県)「本人がやりたいと思ったことは、やらせるようにしている。いろいろな場所へ連れていき、知らない世界がたくさんあることを伝えるようにしている」(石川県)出典:一般社団法人全国高等学校PTA連合会×株式会社リクルートマーケティングパートナーズ合同調査「高校生と保護者の進路に関する意識調査2019」25for Parent 2020

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