キャリアガイダンス保護者版2020
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偏差値より将来のビジョンが大事とはいえ、学力は必要です。子どもが目標に向かって必要な学力を身に付けているか、ポイントを押さえておきましょう。強につまずくきっかけにも挙げられていた「何がわからないか自分で理解できていない」こと。思うように成績が上がらなかったり、授業についていけてないと感じていても、その原因を子ども自身が把握できていないことがあります。例えば漠然と、「数学は嫌い」とか「確率が苦手」と思っていても、確率の何が苦手なのか、なぜ問題が解けないのかが自分でわかっていないのです。 しかしそれを自分で把握するのは簡単ではありません。成績表などに記されている内容は、「科目への意欲」「科目に対する技能」など大ざっぱな項目です。個別に先生から対応してもらえていない限り、自分の弱点は見つけにくいもの。子どもの成績を責めるのではなく、勉強や成績に対する悩みを聞き、受け止めてあげることで、本人が弱点に気付くための時間を作ってあげるのもよいかもしれません。どもがつまずきやすいポイントとして、先生たちのアンケートで多かった回答が「中学レベルの基礎ができていない」こと。例えば数学の「移項」という言葉を国語的に理解していないと、本来簡単に解ける問題も解けないことになります。授業の進度が速くなる高校で、このような中学で習得しているはずのことでつまずいていると、授業の初めからちんぷんかんぷんな思いをしているかもしれません。 中学時代に極端に不得意科目があった場合など、早めの時期に対応しておかないと、子どもが「もう無理」と最初から諦めてしまいかねません。学校によっては、ICTを活用して中学レベルの基礎問題を解かせ、苦手科目だけでなく苦手単元まで特定し、学び直しを促す取組も始まっています。どもが「弱点を克服したいから、学校の授業だけでは足りない」と言ってきたとき、「じゃあ塾に行く?」と考える保護者も少なくないと思います。中学時代に塾に通っていた場合はなおさらです。ただし、先生たちも指摘しているように、塾にもよりますが、塾依存で受身的な勉強をしていると、自分で勉強する方法がさらに身に付かなくなる可能性もあります。また、同じ「数学が苦手な子ども」でも、つまずいているポイントは子どもそれぞれ。学校の授業でついていけないのと同じことが、塾で繰り返されることも考えられます。 自分の弱点を重点的に学べるスタディサプリのようなWeb学習サービスなどの方が、子どもに向いている場合もあるので、さまざまな選択肢の中から、子どもの状態に合った学習方法を一緒に選ぶとよいでしょう。々木先生も述べているように、高校入学直後の成績が卒業まで影響するのはよくあること。子ども自身は、高校受験が終わって勉強に対して一段落しており、「しばらくは部活や学校生活を楽しもう」、「3年で部活を引退したら受験勉強をがんばろう」と考えがちです。しかし、高校は授業の進度が速く、勉強の量が多いため、基礎を学ぶ1年生の段階でつまずいてしまうと、3年になってからでは手遅れということも…。 また、急に勉強の内容が難しくなったり、塾から離れたことで勉強の仕方がわからず、高校の勉強に戸惑ったまま定期テストに臨むことに。その結果、成績が振るわず、自信を失うケースも少なくありません。子どもがどんな状態で高校での勉強をスタートしているか、1学期の定期テストの結果は保護者もチェックしておきましょう。33for Parent 2020

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