キャリアガイダンス保護者版2020
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――スマホの問題は、最近よく聞く悩みの一つだと思います。(以下編集部) 「このケースで、困っているのは子どもではなく親。『スマホばかりやって勉強していないのではないか』と親が不安を抱えているのです。当の子どもは、休憩時間にスマホを楽しんでいるのかもしれないし、『スマホしないで勉強しなきゃ』と気付いているかもしれません。なのに、『またスマホか』と非難されたため、カチンときたのでしょう」(瀬川先生)――誰が困っているのかを見極めることと、自分の思い込みでものを言わないことが大事なのですね。 「そうですね。いつもスマホをやっているわけではないという子どもの気持ちを受け止め、理解したことを示し、次に『心配なんだ』という自分の気持ちを率直に伝えるほうが効果的です」(同)〈おすすめの会話例〉親「そうか、たまたまだったんだね」(気持ちを理解する)子「そうだよ」親「スマホをしているのを見ると、勉強は大丈夫なのかなとかいろいろ考えて、心配になっちゃうんだよ」(自分の気持ちを伝える)子「ちゃんとやってるよ」(と勉強のことに気持ちが向くかも)★ 「たまたまやっていただけというのをこの人は理解してくれたと思うことでホッとし、子どもの心に余裕が生まれます。そして、相手の言うことも聞いてみようという態勢になるのです。親の気持ちを聞いたうえで、スマホをやめて勉強するか、スマホをこのまま続けるか、どうするかは、子ども自身が決めることです」(同) 「子どもが勉強するしないは親には何ら影響はありません。実際に勉強しないで困るのは、子ども自身なのですから。一方、スマホばかりして勉強は大丈夫なのか、将来は大丈夫なのかと心配な気持ちになってしまうのは親自身の問題といえます」(同)――子どもの問題と親の問題を分けて考えることが大事なのですね。 「子どもは子ども自身の人生を生きています。親が代わってやることはできません。『親業』では、困っている人自身がその問題を解決していくのが望ましいと考えています。子ども自身が、自分の力で問題を乗り越える力を身に付けられるよう援助すること、それが親にできることだと思います」(同)(父と息子の会話)(リビングでスマホ三昧中の子ども。父親が入ってくる)気持ちを受け止めることで相手の心に余裕が生まれる子どもの問題と親の問題を切り離して考える親から見ると言い訳に聞こえてしまいますが、子どもは「ちゃんと勉強している時もあるよ」と言いたいのかもしれません。子どもの反応がないので、さらに問い詰めてしまいました。うるさい説教にしか聞こえてないのでしょう。「お父さんには、関係ないじゃん」と思っているかもしれませんね。スマホをやりすぎて、勉強していないと、一方的に決めつけています。本当は、子どもの成績が心配なのに、その気持ちは伝わっていませんね。51for Parent 2020

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