キャリアガイダンス保護者版2020
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NECが開発した空飛ぶクルマの試作機。2019年に浮上実験を成功させた。年」。経団連の会長もトヨタの社長も終身雇用の終焉を告げていますし、政府も副(複)業を解禁しました。人生100年時代には定年という概念は消失し、生涯現役で働き続けることになるでしょう。一つの組織に定年まで身を委ねるような、いわゆる日本型の雇用は、今の高校生の世代にはまったく通用しません。もはや、一つの組織にキャリアを預ければ安泰という時代ではなく、むしろそれが賃金やビジネススキルの低迷というリスクになる時代になっているのです。 一方、破壊の後の創造として、新しいキャリアの在り方が次々と生まれています。転職、副(複)業・兼業、起業などにより、ポジティブに、主体的に、変幻自在に、自らキャリアを形成していくという在り方です。こうしてこれまでのキャリア観を破壊して新たなキャリア観を創造することを、私は「ディスラプティブ・キャリア」と呼んでいます。 かつて離職や転職にはネガティブなイメージがありましたが、今は大きく変わってきています。若い世代では「会社の将来が不安だから」を離職理由に挙げる率が高く、なかでも30代後半の男性では離職理由の第1位になっています(※)。人間関係の良し悪しではなく、この会社は時代の変化に適応できないだろうと判断して、より変化への適応能力の高い会社、職種へとキャリアアップしているのです。同じ組織に何十年もいると、ビジネスパーソンとしての生産性は下がります。日本企業がここ30年で世界のトップ企業から大きく取り残されてしまったのは、個人の力が組織の中で伸ばされず活かされず、潜在能力を開花させる場が奪われていたから。その悪習を破壊して新たなキャリアを創造するディスラプティブ・キャリアが、若い世代を中心にどんどんと広がっているのです。 自らキャリアを形成していくために不可欠なのが、社会人になってからも学び続けることです。キャリアと同時に学びもまた、新たなステージに入ったと言えるでしょう。かつては、大学を卒業したら学びは終わり、という人が大半でしたが、それでは時代の変化に取り残されてしまいます。「6%」の人材になるためには、学び、成長し続け、自分のキャリアをアップデートしていくしかないのです。 さて、既にお気づきかもしれませんが、ディスラプティブ・キャリアは私自身も含めて中高年世代にこそ求められます。若い世代は時代の変化を敏感に捉えてリスクを回避し、新たなキャリアの創造へと向かっています。危険なのは、学ぶのをやめ、新しいことに挑戦するのをやめ、自分の成長を止めてしまっている大人たちです。そういう人に限って、わが子に「人生における成功=偏差値の高い大学に進学し、大手企業に就職する」などという旧来の価値観や固定概念を押し付け、時代に合った新しい価値観の創出やしなやかなキャリア創造を妨げてしまうのです。出典:パーソル総合研究所「副業の実態・意識調査」より変わるキャリアの在り方。保護者世代は価値観の更新を図1 正社員の副業実態※厚生労働省平成30年雇用動向調査より7for Parent 202015年後の社会でわが子に必要な力とは

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