キャリアガイダンス保護者版2021
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書類審査で評価するという人物重視の方式で、いわば両極端でした。それが近年は、筆記試験型でも学びのプロセスや主体性の部分を評価に加え、総合評価型でも筆記試験や高校の成績などで基礎学力を確認するようになっています。入試本番の筆記試験で点数が取れさえすれば合格できる、基礎学力が伴わなくても意欲があれば合格できるといったことは、起こりにくくなっているのです」 受験生の学力を評価する試験のひとつが、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)です。今年、大学入試センター試験に代わって 高校までに育成する資質・能力の変化を受け、大学の入学者選抜(入試)も、「3つの資質・能力」、つまり、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう人間性(主体性・多様性・協働性)」を評価するものへと変わってきています。加えて、どのような選抜方式においてもこれらを「総合的かつ多面的に」評価するようになっているのもポイントです。「かつての入試は、筆記試験型(一※用語解説参照般選抜など)と総合評価型(総合型選抜・学校推薦型選抜など)に大別でき、前者は筆記試験の点数のみで判断し、後者は面接や初めて実施されました。国公立大学のみならず、私立大学でも共通テストを利用する入試方式が増えており、受験生の多くがこの試験を受けます。「事前の告知どおりセンター試験からは問題の質が変化し、いわゆる知識問題は減り、知識を活用する力や論理的に深く考える力、全体を理解・整理して俯瞰するような力が求められる問題が多く見られました。とはいえ、共通テストは学力の3要素すべてを測れるものではありません」 倉部さんがそう述べるように、共通テストでは「主体性・多様性・協働性」まで測ることは難しく、そこは大学個別の選抜試験の領域になります(図1)。入試の変化は、大学からのメッセージ。大学選びは〝マッチング〞の時代へ社会が変化し、教育や学力観が変わりつつある今、大学入試も大きな転換期を迎えています。親子で納得のいく進路選択をするために大切なのが、目先の形式の変化に振り回されないこと。何がどう変わるのか、わが子の自立支援のために保護者ができることは何か、専門家にお聞きしました。日本大学理工学部建築学科卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。企業広報のプロデューサー、私立大学専任職員、予備校の総合研究所主任研究員および大学連携プロデューサーなどを経て、現職。進路づくりの講師・高大共創コーディネーター倉部史記氏入試・進路選択はどうなる?「3つの資質・能力」を総合的・多面的に評価する入試へ初実施の共通テストでは求められる力に変化あり取材・文/笹原風花図1 入学者選抜における「学力の3要素」の評価ポイントの変化※黄色くマーキングした用語については、次ページに解説があります。今までとは大きく変わる!?わが子の学びの“これから”を知ろう!13forParent 2021

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