キャリアガイダンス保護者版2021
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卒業後の進路の話は遠い先のことに聞こえるでしょう。しかし、進路は「3年生になって決める」のではなく「3年かかって決める」もの。多くの高校では、春から適性診断や仕事・学問調べなどを通じて進路について考えさせ、秋には文理選択の最終調査を行います。文系に進むと理系学部受験に必要な科目が履修できない場合があるなど、文理選択は後戻りが難しい大事な分岐点です。保護者も子どもの考えをしっかり確認しておくことが大切です。 こうして早くも大きな選択を迫られますが、職業や学問に関する高校1年生の知識は豊富とはいえません。資格系の職業を目標に挙げる子どものなかには、就職の有利さなどで短絡的に考えている場合もあります。 「1年生は進路を絞り込むより、可能性を広げたい時期。子どもの興味の周辺にある多様な仕事について家庭で話すなど、子どもの視野を広げるよう意識するとよいでしょう」(同) また、2020年度から大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」が始まり、出題傾向が変わりました。保護者も、学校などから提供される最新情報にアンテナを張っておくと安心です。次年度の文理コースや履修科目について最終的な選択を行う。あとからの文理変更は実質困難な場合が多く、入試でも不利になるため、しっかり考えたうえで提出する。多様な大人から直接、職に就くまでの道のりや仕事のやりがいなどを聞く。高校生活にしか目が向いていなかった子どもも、視野が広がったり、働くとはどういうことかを考えたりするきっかけになる。1年秋は学力が大きく動く時期。高校生活に慣れてきたところで、しっかりした学習習慣・生活習慣が身につけられた子どもは、成績が伸びやすい。1年生から数回実施されることも。自分の得意・不得意分野を把握する。書類には保護者の確認・捺印が必要。選択の理由を確認したうえで捺印を。子どもの考えに対し保護者として意見を言うのは悪いことではありませんが、あくまで子ども自身に選択の主導権があるということを忘れず、価値観を押しつけることのないよう注意しましょう。子どもの考えを聞く身近な社会人として、仕事の経験や社会の動きなどについて積極的に話すことで、子どもの視野を広げることができます。学校での社会人講演会などの実施を機に、「どんな話だった?」「どう感じた?」などと話題にするのも効果的です。仕事や社会について話す※学校行事はモデルケースです。新型コロナの影響で例年と異なる時期、内容で実施される可能性もあります。教員がこう話す狙いは、まずは現状認識を合わせたいからで、保護者を叱っているわけではありません。縮こまらず、これを機に家庭での子どもの様子や学習環境などを教員に伝えておくと、今後、教員が的確な支援を行うための貴重な情報になります。また、家庭では、勉強面に口を出すより、生活リズムづくりの支援や、将来についての会話でモチベーションアップを図るなどの協力を。まずは言葉通り順調なのだとご安心を。ただ、あまり具体的な話が聞けず不安があるなら、「もう一歩がんばるとしたらどんなことでしょうか」などと踏み込んで尋ねてみるのも手。「子ども一人ひとりをちゃんと見てくださいね」という教員へのメッセージにもなるでしょう。その学校の3年間で生徒がどう成長するか、間近で見てきた教員だからこその発言です。さらに、「みんないつごろしっかりするのでしょうか」「〇〇部の先輩はどうですか」など上級生の具体例を聞いてみると、保護者も今後の見通しがもてて安心できるのではないでしょうか。褒められた内容を、ぜひ帰宅後お子さんに伝えてください。教員は生徒一人ひとりのがんばりについて、本人に伝えきれていないこともあります。保護者を通して些細なことでも褒められると、子どもは自信をつけ、「先生は見てくれている」という安心感にもつながるでしょう。19for Parent 2021

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