してある日は「叱った」のに、別の日は感情的に「怒った」ら、一貫性のなさに子どもは混乱します。ただ、保護者も人間ですから感情的になることもありますよね。一貫性のない態度を取ると、教員と生徒の間では信頼関係が崩れますが、SOOKをしてしまっても翌日には修復できるのが親子ならではの関係性でもあります。 また、学びは勉強のことだけではないとお伝えしましたが、S3Hでも、「学校の成績」と「人に対して思いやりのある態度」などを同等に評価してほしいですね。 ただし、高校生の子どもと接するとき、保護者がぶつかるのが「ウザがられる」という壁です。最近は反抗期がなく友達のような親子も増えていると言われていますが、多くの高校生は親の愛情を理解していながらも、親と深い会話をすることをうっとうしいと感じるようです。その理由を生徒に尋ねてみると「進路の話などを親とすると、親の価値観での指導が入るのがイヤ」とよく耳にします。保護者としては社会人の先輩として、わが子の考えが浅く感じたり心配したりするあまり、よかれと思ってアドバイスしているのでしょうが、一旦は子どもたちの思いに耳を傾けてあげてください。子どもとの対話でのポイントが図4です。 基本は、構えず、食事中や一緒にテレビを見ているときの自然な流れで、子どもの本音を引き出す「チャンス対話」です。進路のことなど向き合って話すとき、子どもの発言に呆れたりすることがあっても感 「親の背中を見せる」と言いますが、それは「手本となれ」と言っているのではありません。疲れた姿を見せることも、社会の厳しさの一端を感じさせるという意味で必要でしょう。でも社会に出ることの希望を育むためにも「ちょっとだけ強がる」を入れて、仕事で充実感を得たこと、がんばっていることも伝えてほしいと思います。辛いことも楽しいことも両方が社会人の自然体ですから、皆さんの全部をさらけ出していいのです。家庭ではお互いに無意識のうちに影響を与えることがよくあります。皆さんの自然な姿から子どもたちは何かを学んでいくはずです。 要は、保護者もBeingが問われ情的にならず、6秒間待って冷静になる「6秒ルール」も大事です。子どもが黙ったときも口を挟まず6秒は待ってあげたいですね。「プロセス評価」は、保護者が自分のことを見守っていてくれている安心感につながり、失敗してもまた挑戦し続ける粘り強さも育んでいきます。ているということ。子どもに対する保護者のBeingの基本は、子どもを愛していること、幸せに生きていってほしいと願っていることだと思います。だからこそ心配で厳しい言葉も発してしまうわけです。 また、一人の社会人としては、Doingは仕事の仕方などで現れてきますが、Beingは無意識に行動している家庭での姿が近いと思います。そして子どもがそれを見ている。そう考えると、自身の生き方も変わってくると思うのです。仕事への取り組み方も変わってくるし、人との接し方も変わってくる。保護者自身が生涯学び続ける姿を見せることが、何よりの「親の背中」になるかもしれません。図4 子どもへの声かけ、対話のポイントポイント内容期待される効果声かけ例 (○⇒良い例○⇒良い例、、×⇒悪い例×⇒悪い例)チャンス対話ニュース視聴中や日常の何気ない瞬間に子どもから言葉を発した際に、自然に意見や考えを聞いてみる身構えない日常会話の中できっかけを提供すると、本音の話をするようになる。また、物事に対する自分の考えが広がり、主体的思考力が伸びる○「あなたならどう思う?」○「そういうことに興味があるんだ、もう少し聞かせて」 × 「ちょっと座りなさい」と言ってから 質問し始める計画対話⇒堅苦しくてウザイ6秒ルール子どもの発言に呆れたり同意できなくても、感情的にならず、とりあえず6秒は待つ数秒時間をおくことで、冷静になれて怒りなどがおさまるカッとなっても、自分が冷静になるまで待つプロセス評価物事の結果ではなく、過程を評価し、できればほめる結果がどうであれ、次の目標に向かってがんばる力が伸びる。自分の全部を見てくれていると、保護者への信頼が高まる○「がんばったね」⇒過去を評価する○「がんばってるね」⇒現在を評価する × 「がんばってね」⇒本人はわかってるのでウザイ 未来は本人に任せる○「あなたなら大丈夫」*挫折してもまたがんばろうと考えられる*改善策を考えて繰り返しチャレンジできる ちょっとだけ強がる仕事で疲れていても、仕事で楽しかった小さなことでも家庭で話題にしてみる社会に出ることは楽しいこと、ワクワクすることがあると期待をもつようになる○「今日、お客さまから感謝されてうれしかったな」など子どもが先生保護者がわからないことを素直に子どもに教えを請う心を開くようになる。大人になっても学び続ける姿勢が必要なことに気づく○「あなたの方がスマホ詳しいから教えて」27for Parent 2021
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