キャリアガイダンス保護者版2021
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for Parent 2021変化し続ける社会で役立つために実学を通してSDGsに貢献する千葉商科大学  Chiba University of Commerce国内の大学単体で初となる自然エネルギー100%大学千葉県野田市。約4・7haもの広大な敷地にメガソーラー野田発電所の太陽光パネルが広がっている。地球温暖化対策として自然エネルギーへの期待が高まっている中、「大学が使う電力を大学の責任でつくれるか?」をテーマとして2014年からこの活動は始まった。2014年度の発電実績は336万kWhで、これは学内電力消費量の77%に相当した。不足する23%をキャンパス内の省エネと創エネで賄えば自然エネルギー100%のエコキャンパスは実現する。2015年には、その可能性調査を行った。そして、2017年に新たに就任した原はらしな科学長は、この活動を学長プロジェクトのひとつとして位置づけ、全学的な取り組みとして「自然エネルギー100%大学」をめざすことにした。この環境目標の実現に欠かせない柱が3つある。発電所やキャンパスにおける太陽光パネルの増設や照明LED化といった「ハードウェア」の整備、電力の見える化や制御を支える「ソフトウェア」の導入、行動につながる意識である「ハートウェア」の形成だ。中でもハートウェアづくりで大きな役割を担っているのが学内の学生団体SONE等である。学生目線で省エネへの取り組みを企画・実施し、利用頻度の低い自動販売機の撤去など省エネ型への変革を通じて学内電力消費量の削減をはかった。7月の節電ウィークではメンバーがキャンパスを見回り、冷房の効いた教室でのドアの開けっ放し、教室の電気消し忘れ、日中の廊下の照明点灯など省エネできるポイントを探る。発見した問題の解決方法を全員で考えて実行に移し、結果を検証するPDCAサイクルを実践。ほかにも、「打ち水で涼しく大作戦」の開催など、省エネの意識や行動を全学生・教職員に促している。そして2019年、ついに再エネ発電量と消費電力量が同量となる「自然エネルギー100%大学」を達成。この活動は各界で評価され、地球温暖化防止活動環境大臣表彰、省エネ大賞、さらに新エネ大賞なども受賞し、令和2年度版環境白書において取り組みが紹介された。現在は、この活動を他の大学にも広げようと取り組んでいる。プロジェクトは、まだまだ続く。創立以来の伝統である「実学教育」を通してSDGsに貢献するため、千葉商科大学では社会が必要とする大学であり続けるための取り組みを全学的に推進している。ここではその一部を紹介しよう。取材・文/林 康章42(右上)太陽光パネル計11,642枚、パネル容量は約2.88MWを誇る千葉商科大学メガソーラー野田発電所 (2018年度)。(右下)キャンパス内で打ち水を行い、クーラーに頼らない涼しい過ごし方を実感してもらうことを目的とした「打ち水で涼しく大作戦」。SONEメンバーに加え、公募で集まった40名超の学生が声がけを行い、打ち水に参加した学生は200名を超えた。(2019年度)(左下)学生団体SONEは、「みんなが快適で無理せず続けられる省エネ」を理念として能動的に省エネ施策を行い、学内の省エネマインドを醸成している。

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