キャリアガイダンス保護者版2021
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 中学でがんばった分、高校は遊ぶと決めていました。遅くまでスマホしたり授業中居眠りしたり。でも不思議とMARCHには行ける気がして心配していませんでした(*5)。始めのうちは煩かった親も、だんだん放任になりました。 そんな私でも高3では絶対がんばりたいことが。文化祭のクラス対抗劇です。学校名物になっていて、3年でも9月まで全力でやり切るのが伝統でした。うちのクラスは華やかな人はいないけど、皆クラスが好きだったので、優勝するために総監督を買って出ました。 クラスを引っ張るのは思ったより大変でした。人に頼るのが苦手な私は台本作りまで抱え込み、1学期の期末試験になっても完成しない大ピンチに。勉強時間が取れないだけでなく、気がかりで身が入らない。それに、ここで自分がテスト勉強を優先させたら誰もついてこなくなる気もして、テストは捨てる決意。ところがここで親と衝突。実は三者面談でMARCHは相当厳しいと指導されていたんです。「勉強が疎かになるなど本末転倒」「そんな無駄なことに身を削って」と、私の文化祭への想いを全否定。それも承知で不安と葛藤しながらがんばっていることも少しは認めてほしかった。それ以来、親と話さなくなりました。 その後、文化祭の本番まで、地味なクラスな分、演技力で勝負しようと、地域の演劇団体に演技指導をお願いに行ったり、その会場探しをしたり、頻発する意見のぶつかり合いを解決したり、何度もストレス性胃腸炎にかかりながらがんばり続けました。 文化祭は上位入賞で、クラスの最高の思い出を作ることができました。ところが受験モードへの切り替え(*6)がなかなかできません。さすがにもう、MARCHは無謀と諦めましたが、それに代わる目標が見つからないのです。このままでは本当にヤバいと追い詰められました。でも親に相談したところで「やっぱりこうなった」と言われるだけ。やるのは結局自分だし、部屋でひとり悩みました。 やる気を取り戻せたのは、11月後半、同様に文化祭に打ち込んだ先輩に相談したおかげです。先輩の「本当は留学がしたかった」という話から、自分もそう思っていたことを思い出したのです。留学カリキュラムがある大学を目標にがんばれるようになり、今の大学に合格。留学の夢を実現することができました。 あれから4年。文化祭をがんばったことは後悔していません。大学で経営学を学んでいて、文化祭での経験と重なることが驚くほど多いからです。仲間をまとめ問題解決していくプロセスは組織行動論そのもので、将来につながるいい経験になりました。反省しているのは低学年での勉強態度。もう少し真面目だったら親もあれほど文化祭に反対しなかったんだと思います。*5勉強や進路に火がつかない入学後の解放感は、高1の1学期まで。早く切り替えないと、新しい学校集団の中での位置づけ、生活スタイルが自他共に低く固定され、がんばろうと思った時にがんばりにくくなってしまいます。放っておいて火がつくものではないので、学校は進路指導ガイダンスなどで定期的に刺激を入れますが、二人三脚で生徒に伴走していくためにも、保護者の積極的な保護者会、進路指導ガイダンス参加をお願いしたいところです。*6受験モードへの切り替え秋の一大行事が終わると、学校中で、進路への切り替え行事が密度濃く開かれます。2年生や1年生も次の学年に向けて履修選択科目を決める時期ですし、3年生の模擬面接や出願指導、学習対策も本格化します。本来なら、切り替えの熱源としたい行事が、このケースでは燃え尽き現象化してしまいました。そんなときは同じ経験をした先輩への相談が良い方法です。49forParent 2021

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