教えて!「今大学はどう変わっているの?どう選べばいいの?」新型コロナウイルス感染症の拡大も3年目を迎え、大学はなかなか対面中心の教育に戻すことができないでいます。しかし、ビジネスでリモートワークやオンラインでの会議が一気に導入されたように、大学教育も、前から求められていた変化が早まった、とみることができるかもしれません。これからの大学は、どう変わっていくのでしょうか。そのときの大学選びを、どう考えればいいのでしょうか。年度比8校増の778校となりました(文部科学省学校基本調査)。「大学全入時代」が実質的に到来しているだけでなく、トップクラスの大学であっても昔に比べれば、はるかに受験競争は緩やかになっています。 高校や保護者にとっては、もはや偏差値や受験勉強だけでは生徒の尻をたたくことができない、ということです。一方、大学や社会の側にとっては、入試の偏差値=どこの大学に入ったか、ということが学生の優秀さを保証しない、ということを意味します。 そんな折に景気低迷が重なり、企業などから、大学の卒業生の質に疑念の目が向けられるようになりました。そうした状況に危機感をもった大学関係者から湧き起こったのが、教育改革の必要性だったのです。 大学をめぐる高校生や保護者の関心というと、どうしても大学入試に偏りがちになります。しかし肝心なのは、入学後どう力を伸ばすかです。今年で2回目となった大学入学共通テストが生まれたのも、大学入試を変えようという狭い範囲からの発想ではなく、高校や大学の改革を一体化した「高大接続改革」という論議からでした。しかもそのなかでは、大学教育改革が先行していたのです。 2021年度の大学・短大進学率は58・9%と過去最高を記録する一方、18歳人口が減少しているにもかかわらず、学部をもつ大学の数は前 現在、各大学では、「三つのポリシー」に基づいて改革が進められています。まず、その大学が社会にどんな卒業生を送り出すかの「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー=DP)」を定めます。そのうえでDPを実現するための「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー=CP)」を策定し、4年間や6年間の教育を行うこととしました。大学入試は、そんな教育で伸ばすべき入学生を選抜するための「入学者受け入れの方針(アドミッション・ポリシー=AP)」に基づいて行う、という考え方です。 CPをめぐっては、10年前の中央教育審議会答申で「アクティブ・ラーニング(能動的学修、AL)」が打ち出されました。文部科学省の最新調査を見ても、19年度にALを取り入れた授業を実際に行っている大学は94%に、効果的にカリキュラムに組み込むための検討を行う大学が74%に上っています(図1)。大学の授業は、もはや座学だけでは済まなくなっているのです。ディスカッションやディベート、フィールドワークなどを交えながら、社会で役に立つ汎用的能力を培うことが不可欠になっているからです。 ちなみにALは、高校でも22年度入学生から全面実施となる新学習指導要領で「主体的・対話的で深い学び」として行われています(10ページ参照)。これも、高大接続改革の一環です。 また、社会で活躍する人材育成の教育ジャーナリストが最新解説教育専門誌を中心に、教育行政から実践まで幅広く取材・執筆。Webサイト「リクルート進学総研」に「教育トピック 教えて!」シリーズを連載。教育ジャーナリスト 渡辺敦司教育改革の議論は大学の危機感から始まった三つのポリシーに基づき各大学が改革を進行中32forParent 2022
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