保護者のためのキャリアガイダンス2022
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高校生ともなれば、勉強面も生活面も自分できちんとやってもらいたいと期待するもの。さらに新型コロナの影響で家にいる時間も増え、ダメダメな子どもの姿を見かねて、つい注意してしまい反発されるなんてことも…。日常のコミュニケーションの中で、わが子のやる気を引き出すにはどんなコツがあるのか、専門家にアドバイスを伺いました。取材・文 /菅家真理枝 イラスト/小迎裕美子 子どものためと思って助言しても聞いてもらえないなど、高校生になったお子さんへの接し方に、難しさを感じている保護者も多いようです。また、新型コロナの影響で在宅時間が増え、今まで見えなかったこともつい目についてしまうという悩みも出てきているようです。 「親は、子どものだめなところを変えようと思いがちですが、『親業』(左下コラム参照)では、親がコミュニケーションの取り方を学び、親自身が変わることで、子どもが変わっていくと考えています。 ポイントは、『誰が困っているのか』を見極めること。親が困っているのなら、『わたしメッセージ』*1で親の気持ちを率直に伝えること、子ども自身が困っているのなら、『能動的な聞き方』*2で子どもの話をよく聞くことが、悩み解決の手助けになります」(瀬川文子先生) また、相手の性格や態度ではなく、行動を客観的に見ることの重要性を先生は指摘します。 「例えば、『だらしない』と言うと、相手の人格を否定することになります。相手のどんな行動を見てそう思ったのか、なぜ自分はそう思うのかを理解することが大事です」(同) 次ページからの先生のアドバイスを、ぜひ、参考にしてください。ダメダメ親業訓練シニアインストラクター瀬川文子先生「親業」とは?米国の臨床心理学者トマス・ゴードン博士が開発したコミュニケーション訓練プログラム。親業訓練協会では、ゴードン・メソッドに基づいた「聞き方」「話し方」「対立の解き方」を柱に、さまざまな講座を開催。「親業」で提案するコミュニケーションのコツ(抜粋)(*1)「わたしメッセージ」…「わたし」を主語にし、相手の「行動」、自分への「影響」、正直な「気持ち」を伝えること。相手を責めることなく自分の気持ちを伝えることができ、解決方法は相手に任せる。(*2)「能動的な聞き方」…話し手の言ったことを「繰り返す」「言い換える」「気持ちをくむ」という3つの聞き方。話し手は、自分で自分の問題に気づきやすくなる。親業訓練協会のさまざまな講座のインストラクターをはじめ、保護者や教師、企業などを対象とした講演会や研修でコミュニケーションインストラクターとして幅広く活動中。『あっ、こう言えばいいのか!ゴードン博士の親になるための16の方法:家族をつなぐコミュニケーション』など著書多数。日本プロフェッショナル講師協会TM認定講師。2女1男の母。50for Parent 2022

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