自ら学び、変わり続ける人が変化する時代を生き抜いていく経済や社会が大きく変わる今、これからを生きる子どもたちは、どのような力を身につけていけばいいのでしょうか。企業経営や人材育成に詳しい、明治大学MBA専任教授の野田 稔先生に伺いました。取材・文/石井栄子はや通用しなくなっているのです。 「一般的に人は安定を好み、変化を恐れたり、変化に乗ることを好まない傾向があるといわれています」(野田先生)。しかし、コロナ禍でいち早くテイクアウトサービスを始めたレストランが業績を上げている例などからもわかるように、「これからは安定志向ではなく、世の中の変化に合わせて迅速に自らを変えていくことが必要です」 「着目すべきは、変化のスピードが速くなっていること。AIも少子化もグローバル化もコロナも、そのひとつの事象。子どもたちが生きていく未来の社会でも、このような変化が次々と起こるでしょう。そのなかでは知識はすぐ古くなりますし、覚えていなくてもすぐ調 前ページでもふれたように、AIやロボット、デジタル通貨など、急速な技術革新はとどまるところを知りません。また、地球温暖化やそれに伴う自然災害、社会に大きなインパクトを与え続けている新型コロナウイルスなど、かつて経験したことのない難しい課題に私たちは直面しています。 コロナ禍によって100年もの歴史をもつ企業が倒産したり、日本の基幹産業である自動車業界ですら、政府の「ガソリン車ゼロ」方針によって根本的な構造改革を迫られるなど、未来が見通しにくくなっています。「良い大学、良い企業に入れば一生安泰」という図式はもべられる。であれば、既存の知識を詰め込むよりも、変化に合わせて自分自身を変え、進化させる力のほうがよっぽど重要です。だから企業が求める人材も、言われたことを従順にこなす人よりも、変化を恐れず、変わり続けることができる人へと変わっているのです」 加えて大切なのは、「考える力」。今、私たちは、地球温暖化や人口爆発、環境破壊など、地球規模の課題に直面しています。未来を生きる子どもたちは、これら答えのない課題に立ち向かわなければなりません。今は、社会の枠(パラダイム)自体が変わる時代。そんななかでは、旧来の枠の中で言われたことをこなすいわゆる「ガリ勉」ではなく、過去の常1981年一橋大学商学部卒業。1987年一橋大学大学院修士課程修了。野村総合研究所で経営戦略コンサルティング室長等を経て2001年3月退社。多摩大学経営情報学部教授、株式会社リクルート新規事業担当フェローを経て、2008年4月より現職。リクルートワークス研究所特任研究顧問を兼任。著書:『野田稔のリーダーになるための教科書』(宝島社)など多数。明治大学MBA(グローバル・ビジネス研究科)専任教授野田 稔先生図 変化し、学び続ける力をつける保護者の時代との最大の違いは、変化のスピード社会はどうなる?6for Parent 2022
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