キャリアガイダンス保護者本2023
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■■■図一般社団法人 こたえのない学校藤原さとさん日本財団「18歳意識調査(国や社会に対する意識)」(2022年)より 教科書があり、問題には正しい答えがあり、正確かつスピーディーに答えられると評価される、というのがこUCA※の時れまでの学校教育でした。一方、現代はV代と言われており、当たるとも知れない未来予測に基づき、大人が「これが必要な知識だ」と子どもたちに習得させようとすることは的外れになりつつあります。そうではなく、子どもたち自らが、自分で得た情報に基づいて考え、判断・行動する力が必要になっているのです。そこには、自分はどんなことが好きで得意なのかという判断も含まれるでしょう。未知の状況や答えがわからない課題に出合ったときに、どう向き合いどう振る舞うかを学ぶのが探究であり、これからの時代を生きていくうえで必要なものだからこそ、必修になったのだと私は理解しています。 探究学習やプロジェクト型学習の設計を学校の先生と共に考える機会が多いのですが、「最初はやらされ感があった生徒が、地域の大人から話を聞いたり、解決策を考えてアクションを起こしたりするなかで、徐々に主体的に動き出すことに驚いている」という先生の声をよく耳にします。社会とつながり、誰か・何かの役に立ってい「自分の行動で、国や社会を変えられると思う」と感じている人の割合(国別)15for Parent 2023※Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べた言葉で、変化が激しく先行きが見えず、複雑さと曖昧さを含む社会情勢を意味する。日本政策金融公庫、ソニー(株)などに勤務。長女出産後、ヘルスケアコンサルタントとして医療機関再生、地域包括ケアシステムの構築サポート、ミャンマーでの乳がん検診事業立ち上げなどに携わる。2014年に「こたえのない学校」を設立。2018年、経済産業省「未来の教室」事業で、世界屈指のプロジェクト型学習を行う米・ハイ・テック・ハイの教育プログラムを日本に導入。著書に『「探究」する学びをつくる 社会とつながるプロジェクト型学習』(平凡社)ほか。るという実感が得られることで、気持ちに火がつくのでしょう。文字通り、目の色が変わってくるそうです。探究は、自分は何かできるかもしれないという自らを尊重する気持ちを高めると同時に、社会に対する信頼、大人に対する信頼を回復する機会にもなると感じています。 また、勉強やスポーツができる・できないではなく、人間性をより多面的に見ることができるようになるのも、高校で探究に取り組む意義の一つだと思います。チームでプロジェクトを進める場合には、さまざまな能力が必要とされます。個性をもったメンバーがチームとなり問題を解いていくなかで、多様な資質・能力を発揮できるシーンがあります。本を読むのが好き、人とコネクションをつくるのが得意、資料をまとめるのがうまいなど、自分の得意なことやできることを活かしてチームに貢献することで、自信や人を信頼する気持ちが芽生えます。また、友達の新たな一面を知ることで、多様な資質・能力を認め合う素地ができます。 日本の若い世代は、自分が社会を変えられるという意識が諸外国に比べてとても低いというデータが出ています(図)。確かに、今の子どもたちを見ていると、世の中への諦めがあるように思います。親や学校、社会からのプレッシャーに、「周囲が求める自分にならないといけない」と感じているのかもしれません。そうしたなか、「総合的な探究の時間」が、子どもたちが「自分は自分であっていいんだ」と思える時間になるといいなと思います。自分も知らなかった自身の側面や価値があることに気づいたり、可能性を感じられたりすることで、自分のことを認められて、他者のことも認められる。自分のことを好きになる。自分の行動が社会を変えることにつながると思える。そんな時間になっていくことを期待しています。

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