キャリアガイダンス保護者本2023
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ばカボチャの煮物。ネットで検索すれば、作り方は山ほど出てくる。それでも「私だから伝えられること」があるとしたら、なんだろう。そう考えていて、レシピの一行一行につまずいていたころの自分を思い出しました。カボチャって固いですよね。初めて料理  5 をするような人は、まずその固さにびっくりするんです。気軽な気持ちで包丁を刺したらなかなか抜けない。「何これ。カボチャを切る、って普通に書いてあるけど、すごく大変じゃない」。それだけでもう、料理が嫌になります。だけど、もし「カボチャはすごく固いから、切るとき気をつけてね」と言ってくれる人が横にいたら、よしがんばろうって、カボチャへの臨み方が変わると思うんです。 「ささみの筋をとる」と書けばレシピ上は一行で済むけど、ささみの筋とりは意外と面倒です。だったら「最近はスーパーに筋をとったささみが売っているから、それに甘えましょう」と私は言いたい。レシピを見て突き放されたような気持ちになった過去の自分を思い出して、レシピを書いてみることに。そうして作った『10年かかって地味ごはん。』は2021年の発売後、多くの方に読んでいただきました。「横に立って教えてもらっているみたいな気持ちです」と読者の方からコメントいただいて、嬉しかったですね。たまたま早くに結婚して料理が楽しくなったから。たまたま夫の母親が平野レミさんだったから。偶然や流れに身を任せながらも、同時に、自分に嘘はつかず、自分がいいと思うことを選択してきました。世の中の「こっちがいい」に乗るだけではなく、料理家として自分の「らしさ」を信じたことが、現在の仕事につながっています。今の高校生は、新しい働き方や学び方が増えて、選択できる幅も広がっています。自分らしさを問われて悩むかもしれないけれど、そんなの、今すぐ言葉にできなくたっていいはずです。無理をして作り出した「自分らしさ」は時として、呪いのように自分を縛りかねません。周りや社会に合わせるのではなく、小さなことも「自分がどうしたいか」を大切にしている人は、自ずと、自分らしい進路が目の前に開いていくものだと思う。私自身、3人の子どもを育てる母親ですが、子どもたちには何かを教える立場ではなく、「自分がどうしたいか」を一緒に考えてくれる大人として見守っていけたらと思います。for Parent 20232022年の「料理レシピ本大賞 in Japan」にも入賞を果たした、大人気レシピ本の第二弾。茶色くて地味だけど愛される、「いろんな毎日に寄り添うなんでもないおかず」が再び登場します。わだ あすか●料理家。3児の母。料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。料理家としての活動のほか、食育などをテーマに全国各地での講演会やイベント出演など幅広く活動する。

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