キャリアガイダンス保護者版2024
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わかっています※2か。多くの大人と話し、社会と接点をもつ体験を通して、視野が広がり、〜がしたい、やってみたいという動機が得られるからです。そうした動機に基づいて最初の選択をしている人は、就職後もアクションを起こせるのです」 「動機ある選択」がその後の満足度につながるというデータもあります(図5)。「合格できそうだったから」という理由で高校卒業後の進学先を選んだ人の進学後の満足度は27%だったのに対し、「将来就きたい仕事と関連しているから」という理由で選んだ人の満足度は50%と高くなっています。「つまり、幸せな人生を送るためには、『どの学校、企業を選んだのか』よりも『なぜその学校、企業を選んだのか』の方が重要なのです」 「動機ある選択」をすることが、社会人として成長しながらキャリアを積むうえでも、幸せな人生を送るためにも重要であり、高校卒業時の進路の選択がそのプレ体験となるのであれば、高校生の保護者はどのようにわが子を支援すればよいのでしょうか。古屋さんは、「大事なのは小さな体験。。なぜでしょう大人ができるのは、その機会を与えること」と言います。 「動機はもてと言われてもてるものではありません。目標をもて、夢を見つけろ、というのも同じです。真の動機は体験から生まれます。だからこそ、まずは小さなことからやってみること、一歩踏み出してみることが重要なのです。そもそもやってみたいことがない、行動するのが面倒だという子もいるでしょう。まだ高校生なのですから、当然です。入り口は、親に言われてシブシブ参加した、興味なかったけど友達に連れてこられた、でいいんです。そういう〝言い訳〟の余地を残してあげることが、最初の一歩のハードルを下げるために、実はとても大事なのではないかと思います。保護者の方にできるのは、子どもの体験の幅を広げてあげること。お子さんの興味や性格、特性を一番よく理解しているのは保護者の方ですから、お子さんに合った体験の機会を与えてあげていただきたいと思います。お子さんが興味のありそうな仕事に就いている友人を紹介する、関連する本やサイトを紹介するなど、小さなことでいいんです。ぜひ、たくさん転がっているきっかけに気づかせてあげてください」保護者にできるのは、体験の機会を与えること■■■■■■ディップ(株) AINOW編集長小澤健祐さん 現在は、IT・人材系企業の正社員としてデジタルメディアの編集長などを務めるほか、副業として常時2〜3社でメディアの運営や企業PRの仕事をしています。昨年には知人と共同で起業したほか、大学の研究センターでのプロボノ活動やカメラマンとしての活動もしています。僕が掲げているのが、「人間とAIが共存する社会をつくる」というビジョン。これを実現するために、さまざまな活動を通して、「次世代社会の創造のためにコミュニケーションを起点に変革を波及させる」というミッションを遂行しています。 これまで取り組んできた活動に共通するのが、目的に合わせてストーリー11for Parent 2024を作って人に届ける、ということ。高校時代に放送部でドキュメント番組を制作したのが最初でした。転機は大学3年生のとき。情報を伝えることに興味があり、オンライン学習事業を展開する企業で学生インターンとして働き始めました。そのうちに生放送のディレクションを任されるようになり、仕事の幅もどんどん広がり、めちゃくちゃ楽しくなって。仕事を通していろんな大人と出会えたことも、とても大きかったです。 高校時代からずっと意識してきたのが、8割できるようになったら次に行く、ということ。一つのことがある程度できたら、それを別の領域に展開したり新※2 リクルートワークス研究所「大手企業における若手育成状況調査」(2022年)より。しいことに挑戦したりした方が、経験やスキルの相互作用が働いて面白いと思うんです。そのときに、どちらかではなく「どちらもやる」という選択をしてきた結果、今の僕があります。 自分のビジョンやミッションは、言い換えれば、社会における自分の役割や提供できる価値です。この軸を定めておかないと、ずっと一つの職業、職種に縛られてしまうと思うんです。今ある職業がこの先もずっとあるとは限らないなか、どの職業に就くか、ではなく、仕事を通して何を実現したいか、どんな価値を生み出したいかが、これからの時代には重要になるのではないでしょうか。

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