大学受験の中核を担う、毎年1月に行われていた「大学入試センター試験」(以下、センター試験)。これが2021年度から「大学入学共通テスト」(以下、共通テスト)に変わりました。名称が変更されただけでなく、知識があれば解答できる問題が減り、国語以外の教科でも多数の資料や長文を読み込んで、論理的な思考力がないと解答できない問題が増えるなど、問題の質も大きく変わっています。こうした変化は共通テストに限らず、大学個別の選抜試験にも見られる傾向です。また、英語の4技能(読む、聞く、書く、話す)を測るために、実用英語技能検定やTOEFL iストなどの民間試験結果を活用する大学も珍しくなくなってきています。入試が変わってきた理由について、「学力観の変化」にあると小林さんは言います。「保護者の方々が高校生だった時代は、学力=知識・技能でした。試験問題のみで測れる力で、いわゆる偏差値という軸で大学も序列化されていました。しかし、社会や働き方が大きく変化している予測不能な現代では、既存の知識・技能だけはもう対応することができない。そこで、文部科学省では学力を多角的な視点で捉え『学力の3要素』に整理したのです」学力の3要素とは「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・BT®テ多様性・協働性」のこと。今までの知識・技能が大切なことはもちろん、自ら課題を発見し、解決に向けて探究し、その成果を発表できる力や、主体性をもって多様な人々と多様な場面で協働する力を教育で身につけようということです。Part2でご紹介したように、 1)の基となっているのが学力の3高校では2022年度からカリキュラムが変わり、新課程では「総合的な探究の時間」が必修科目となったことが、学力の3要素を総合的に育てる取組の一例です。現在の学習指導要領で育成すべき資質・能力の3つの柱(12ページ図要素なのです。社会での働き方、高校の学びが大きく変化するとともに、大学での学びや、大学に入るための入試も保護者の時代とは大きく変わっています。どう変わり、なぜ変わったのか、いよいよ新課程での入試が始まる2025年度を目前に、大学など高等教育機関の情報誌の編集長を務める小林浩さんに教えてもらいました。国語以外でも長文読解力や論理的な思考力が必要知識・技能だけでなく学力の3要素を測る入試に保護者の時代と今の、入学者選抜における「学力の3要素」の評価ポイントの変化15forParent 2024取材・文/長島佳子1964年生まれ。株式会社リクルート入社後、グループ統括業務を担当。「ケイコとマナブ」企画業務等を担当。経済同友会に出向し、教育政策提言の策定に関わる。その後、経営企画室、会長秘書、特別顧問政策秘書などを経て2007年より現職。文部科学省中央教育審議会高大接続特別部会委員等、さまざまな委員を歴任。現在は、中央教育審議会大学分科会高等教育の在り方検討特別部会委員を務める(2023年〜)。図1リクルート進学総研所長『カレッジマネジメント』編集長小林 浩さん
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