キャリアガイダンス保護者版2024
16/66

「共通テストなど大学の入試が変わることを〝入試改革〟とよくいわれますが、世の中の変化に合わせて、高校の授業も大学も変わらなくてはならない。当然、高校から大学への入口である入試も変える必要性から、高大接続改革という大きな教育改革の一環ということです。入学志望者の学力の3要素を大学が測るために入試が変わってきているので、保護者の時代のように机に向かって勉強するだけの学力では対応できなくなっているのです」(小林さん)学力の3要素と入試の対応を表したのが図1です。当初は共通テストに記述式の解答を導入することも検討されていましたが、現状はセンター試験同様に全問マークシート方式ではあるものの、前述のように論理的な思考力が求められる問題が数多く出題されています。一方で、大学個別の選抜試験では記述式問題や小論文が増加傾向にあり、「思考力・判断力・表現力」だけでなく、「主体性・多様性・協働性」を測るグループディスカッションなどを入試に取り入れている大学も出てきました。2022年度からの新課程で高校生活が始まった生徒たちが入試を受けるのが2025年度入学者選抜から。つまり今年の高校3年生たちが新課程初の入試を受けることになり、各大学とも2024年度の入試とは大きく変わることが予想されています。 「それに先駆けて、先進的な入学者選抜を既に始めている大学も少なくありません。全体的な流れとしては、保護者の時代は一般入試やセンター試験が主流だったことに対し、総合型選抜に力を入れている大学が増えているのが特徴です」(小林さん)総合型選抜とは以前のAO入試が改定された入試区分。大学個別の入試方法も図2のように見直され、保護者の時代とは名称も選抜方法も変わっているのです。いずれの入試でも学力の3要素をしっかり評価しようとしています。特に総合型選抜は東北大学や京都大学などの超難関国立大学での導入が注目され、全体としても増加傾向にあります。 「大学ごとに求める人物像が非常に多様化しています。昔のように大学と生徒が偏差値だけで対応しているのではなく、総合型選抜では高校時代の探究での活動内容を評価するなど、生徒のさまざまな強みを評価できます。また、日頃からコツコツと学べる子どもは学校推薦型選抜が向いているなど、子どものタイプによって大学との接続機会が多様になっている。保護者には複雑に感じるかもしれませんが、偏差値だけで考えると選択肢に入らなかった大学・学部でも、子どもの個性や学びたいことと実はマッチしているなど、大学との出会いの機会が増えていると捉えられると思います」(小林さん)実際に、文部科学省の調査(※1)では総合型選抜は2023年度に私立で92・4%、国立で78・0%と大半の大学が実施。入学者の割合では、学校推薦型選抜と合わせると私立では58・7%と6割近く、一般選抜が主流と思われがちな国立でも18・2%と2割近くが一般選抜以外の方法で入学し、さらに増加傾向にあるのです(図3)。なぜ入試や高校、大学の学びが     まっています。変わったのでしょう。生成型AIの出現など、保護者の皆さんも日常で社会の変化のスピードを体感していると思いますが、今の教育改革は2030年の社会で求められる力をどう育むかの検討から始入試方法の多様化で挑戦の機会が増えている社会で求められる力を大学で測り、育てるため国立大学の総合型選抜+学校推薦型選抜の入学者数大学入学者選抜の入試区分の変化図3図2※1 文部科学省「国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」(令和3年度版、令和5年度版)から編集部にて集計■ 出題科目が1〜2科目に限定■ 記述式問題の出題なし、評価軸が知識量や暗記力に偏りあり■ 英語:「話す」「書く」の評価がない■ 知識・技能の修得状況に過度に重点をおいた選抜としない■ 原則として学力検査を免除■ 学力検査、小論文など入学志願者本人の記載する資料等により、入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定する入試方法■ 各大学が実施する評価方法等又は「大学入学共通テスト」のうち、いずれか一つの活用が必須■ 本人の記載する資料(活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書等)を積極的に活用■ 各大学が実施する評価方法等又は「大学入学共通テスト」のうち、いずれか一つの活用が必須■ 推薦書で「学力の3要素」を評価の記載と、大学が選抜にあたりこれらを活用することが必須for Parent 202416

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る