「2030年がどんな時代かは予測不能です。テストで測れる力はすべてAIに代替されるともいわれています。では、学生が社会に出るときに企業の採用担当者が何を重視しているかというと〝地頭(じあたま)の良さ〟なのです」(小林さん)大企業でもいつ淘汰されるかわからないのが今の時代。答えが一つではない難問に直面したときに、自分の頭でどう考えられるかが試されることになります。自ら課題を見つけて論理的に判断したり、それを人とコミュニケーションして解決策を見出したりしていけるかという地頭の良さは、偏差値など旧来のものさしでは測れないものです。社会のニーズに対応できなければ、難関大学卒業者でも即戦力で活躍できないという危機感を大学がもち始め、より実社会に即したカリキュラムや協働的な学び方に変わってきています。 「先の見えない時代で企業も大学も危機感をもって取り組んでいます。高大接続改革とは、社会に出たその先までを見据えた改革なのです。入試も学校も変わっていくなかで、保護者の皆さんも我が子の学びに対する考え方をアップデートしていく必要があるのではないでしょうか」(小林さん) 第1にお伝えしたいのは、大学入学がゴールではないということ。教育改革は「2030年の社会と子どもたちの未来」をテーマに検討されてきました。大学も変わってきていますし、保護者の皆さんが知っているいわゆる偏差値が高いとされてきた大学以外でも、これからの時代に必要な力をつけるための質の高いカリキュラムを実施している学校はたくさんあります。子どもたちの将来を見据えて、学びたいことが学べる大学選びをサポートしましょう。 そして、皆さんたちの時代の常識でお子さまにアドバイスしないように。各大学1770を超える企業・団体と連携し、卒業までに約40もの課題に取り組むというビジネスデザイン学部。総合型選抜を、「SDGsプレゼン型」「探究・ビジコン活用型」「アトツギ型」という3つの型に分けて実施。新たなビジネスを創出できる人材かを測るために、選抜試験ではビジネスアイデアレポートを作成し、それについてのプレゼン、面接、グループワークによって採点。評価項目はレーダーチャートなど細かな個人結果レポートで示され、合否にかかわらずフィードバックされる。for Parent 2024で選抜の機会が多様になっているので、前ページで挙げた入試区分以外にも、学校推薦型選抜の中には保護者の時代の指定校推薦にあたる指定校制のほかに公募制もあります。一般選抜は、昔は前期と後期だけでしたが、今は中期もあります。一つの大学だけでも多様な入口を設けているのです。保護者の思い込みで薦めるのではなく、子ども自身が自分に合った大学と入試方法を、自分で調べるよう促してあげてください。 最後に、机に向かっている時間だけが勉強ではないということ。自分で課題を数学やデータ科学は、大学における授業はもちろん、社会に出た後、必要不可欠になる学問だと考え重視。このため、政治経済学部では2021年度から一般選抜において共通テストの「数学I・A」を必須科目とした。また、受験生がこれまで取り組んできた地域での活動や経験、問題意識等を踏まえ、大学で主体的に学び、その成果を地域に還元する意欲を評価する、「地域探究・貢献入試」(総合型選抜)を複数の学部が2018年から実施している。見つけられるようになるために、どこかで特別な体験をしにいく必要はありません。蚊に刺されやすい妹を可哀想に思い蚊の研究を行い、海外の大学に留学した少年もいます。身近なことに課題を見つけて、それについて家族で対話をすることで、学びの好奇心が育っていくこともあります。「勉強しろ」と保護者が子どもに言う時代は終わりました。「勉めて強いる」学びではなく、内発的に自分から学びたいことを見つけられるような学びにつながる可能性を含む会話が、家庭内でできるといいですね。島根大学では2021年度から「へるん入試」という独自の総合型選抜を実施。読解・表現力の筆記試験は課すが共通テストは課さず、同学が「学びのタネ」と名づけた好奇心・探究心を測る。生徒の学びたいことと同学で学べることのミスマッチを防ぐために出願前に面談を実施(参加は出願要件ではない)。高校時代の取組や、自身の「学びのタネ」を記載した出願書類をもとに、面接を重視している。2024年度の募集人員は全入学定員の25%以上を占めている。
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