キャリアガイダンス保護者版2024
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教えて!今、大学での学びはどう変わっているの?保護者世代までの大学教育といえば、3年次までは「楽勝科目」と「鬼科目」の間をくぐり抜けながら授業を受けて単位をせっせと取り、4年次は卒論中心に取り組むものの、最終的には積み上げた単位が要件に達したら卒業証書を得られるというのが、一般的な姿だったことでしょう。しかし、その後の大学は一変しています。これから進学する子どもたちには、保護者世代とは別の心構えが必要です。今、大学教育は、どう変わっているのでしょうか。文部科学省の調査を基に、考えてみましょう。高校選びの際に説明会などで、その学校の「スクール・ミッション」や「スクール・ポリシー」について説明を受けた方も多かったことでしょう。実はこのスクール・ミッション/ポリシー改革は、もともと大学教育の改革手法だったものが高校に降りてきたものです。大学には2017年度以降、「三つのポリシー(方針)」を策定・公表することが義務付けられています。①ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針、DP) ②カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針、CP) ③アドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針、AP)―のことです。大学受験生にとってAPは、今や入試要項にも必ず書かれていて、なじみ深いものです。しかし、APだけで完結するものでは決してありません。まずは各大学が社会から信頼される卒業生像を①で定め、そんな人材を育てるための手立てを②で講じるものであり、そんな4年間の教育に耐えうる学生を③に基づいて選抜しよう考え方に基づいています。〈図1〉を見てください。もはや三つの方針を策定していることは、大前提で、方針の達成状況を点検・評価して改善に取り組む大学が9割近くに上っているのです。高校の説明会では、総合的な探究の時間をはじめとして、その学校で行われている「アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び、AL)」についても説明を受けたことでしょう。探究学習に魅力を感じて高校を選んだ、という生徒も少なくないかもしれません。てきたものです。大学教育界ではという「能動的学修」と訳されてきたものです。なく、討論や調査、フィールドワークなどを通して、問題発見・解決力、コミュニケーション力、リーダーシップなど、社会でも通用する力をつけさせようとするものです。〈図2〉を見ても、ALを採り入れた授業を「実際に行っている」と回答した大学は、96・9%とほとんどです。今や実施は当たり前で、実はこれも、大学教育から降りかつてのような座学一辺倒では学■修■」と書きました。「―学習」のALを通してどんな資質・能力をつけさせるかが問われている段階だといえます。当然、受け身の姿勢ではAL時代の大学教育に耐えられません。いつまでも先生の指示を待つのではなく、能動的に関心をもち、積極的に取り組む姿勢が、これからの大学生には不可欠なのです。ところで先ほど、ALを「能動的誤変換ではありません。「学修」も大学教育の用語で、授業時間だけでなく予習・復習の時間も含めて単位を認定すべきだ、という考え方に基づくものです。これ自体は保護者世代のずっと前から変わら卒業生像から立てる「ポリシー」が席巻受け身では耐えられない「能動的学修」DXで予習・復習が必須になる!?   ―     ―教育ジャーナリスト 渡辺敦司教育専門誌を中心に、教育行政から実践まで幅広く取材・執筆。Webサイト「リクルート進学総研」に「教育トピック 教えて!」シリーズを連載。forParent 202434教育ジャーナリストが最新解説

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