今思えば「なぜ、あんな〝魔法〟にかかっていたのだろう」と不思議なくらいに、子どもたちの進路について凝り固まった考えをもっていました。入社2年目で結婚し、翌年には長女を、その3年後には長男を出産。仕事でいつも一緒にいられない分、仕事以外の時間はすべて子どもに費やしたいと思っていました。自分のための時間を過ごすより、子どものために問題集をコピーしてあげたい、って。子どもたちからすれば、相当重かったでしょうね(笑)。子育てのゴールとして意識していたのは、大学を卒業してきちんと就職できること。しかも、内心では〝安定した仕事〟、例えば公務員や、資格を活かせる職に就いてほしいと願っていました。必要な装備とアイテムを揃えればクリアできるゲームのように「良い大学を出て、安定した仕事に就けば、きっと幸せになれる」と信じて疑わなかった。当時の私には、子どもたちに「どんな道に進んでも大丈夫。自分の個性を伸ばして、自由に生きなさい」と言ってあげる余裕はなかったのです。その考えが変わったきっかけは2つありフリーアナウンサー堀井美香 4取材・文/塚田智恵美 写真/キム・アルムforParent 2024
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