産業のこれからに貢献するため理工系学部が新たなフェーズへ大阪産業大学 Osaka Sangyo University創立100周年を前に理工系学部を新しい編成に専門分野を極めつつ横断的にも学べる環境を入試と初年度教育を整備文系受験生の受け入れへまもなく100周年を迎えようとする大阪産業大学。1928年に大阪鉄道学校として創立されて以来、産業界に貢献することを使命とし、実学的な教育・研究に注力してきた。現在は、文系学部も含む6学部13学科の総合大学として、幅広い業界へ人材を送り出している。そんな同大学が、2025年4月に理工系学部の改編に向けて動き出している。「デザイン工学部」と「工学部」の2学部7学科体制が、「情報デザイン学部」「建築・環境デザイン学部」「システム工学部」の3学部3学科体制へと変わる予定だ(※仮称・構想中)。新体制の特長の一つは、幅広い分野を横断的かつ柔軟に学べる点だ。産業の高度化・複雑化が加速する今、社会が求めるのは、スペシャリストでありながら、同時に幅広い視野と豊富な知見を備えたジェネラリストである。そのような人材を育むため、複数の学科を設置し、学びを細分化するのではなく、理工系3学部に配置するのは各1学科だけに限定する。従来の枠に縛られることなく、興味や関心に応じてさまざまな専門分野を深められる環境をつくる。また、情報をメインテーマとする情報デザイン学部に限らず、建築・環境デザイン学部とシステム工学部でも、数理・データサイエンスを学ぶことを義務づける。これは、数理・データサイエンスの知識と技術が、あらゆる業界・職業において欠かせない素養になっているからである。もう一つの大きな特長は、文系の受験生を広く受け入れようとする点である。新3学部の入試には、理系科目を必須としない試験も設ける予定だ。つまり、高校で数学や物理を選択してこなかった受験生にも、理工系学部に入学する門戸を開く。同大学の小川和彦学長は、「もはや、文系・理系を切り離して考える時代ではない」と語る。例えば、経済・経営の分野では、さまざまな統計分析、すなわちデータサイエンス(右上)情報デザイン学部では、ビッグデータを活用し、さまざまな課題の解決につなげるデータサイエンスをはじめ、高度情報社会に対応した多岐にわたる知識・技術を磨く。情報で時代を切り拓いていく人材の育成をめざしている。(右下)多種多様なデザインを追究する構想を描くのが建築・環境デザイン学部だ。製品や建築、都市、空間、環境、自然に関わる6コースを設置する予定で、持続可能な社会をつくる建築士やSDGsに貢献できる人材の育成に力を注いでいく。(左上)システム工学部にはさまざまな分野のエンジニアをめざす7つのコースを用意する計画だ。1・2年次にシステム工学の基礎をしっかりと固めた上で、専門性を磨いていく。これら3学部ともに、理系だけでなく文系出身者も学びやすい環境を整備していく予定だ。取材・文/一圓 玲子for Parent 2024422025年4月、大阪産業大学は理工系学部の改編を計画している。産業界への寄与を使命に掲げる同大学が、新たな体制で理工系学部を再出発させる狙いとは何か―。その概要と要点を紹介する。
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