〝いま〟を生きるための、実践的な心理学とデータサイエンス基礎東京家政大学 Tokyo Kasei University教育現場で働くためにはストレスへの理解が不可欠米国の心理学者ラザルスの理論に沿って実践的に学ぶ日々、誰もが感じるストレス。時にはやる気を引き出す良薬になるが、度が過ぎれば心身を損なわせる劇物になる。三浦教授の専門分野は『健康心理学』。多面的に健康を探る心理学の中でも、人間にとって厄介な問題である『ストレス』を研究してきた。「心理カウンセリング学科には、養護教諭やスクールカウンセラーを目指す学生が多く、子どもの心身の問題をいち早くキャッチするには、ストレスがどのようなものかを知っておく必要があります。また、ストレスマネジメントの知識があれば、学生自身がストレスを抱えた時に、上手に対処することもできるのです」東京家政大学には真面目であるがゆえに、試験や課題の重圧に押しつぶされそうになったり、友人関係で悩む学生がいる。授業ではそのような実体験を書き出させ、その出来事をどう捉え、どう対処しているのか、学生が自らを検討材料にして、それを分析することでストレスに対する自分自身のクセを理解する。三浦教授の研究の基礎となっているのは、米国の心理学者ラザルスのストレス理論。大学の授業もラザルスの理論に沿って実践的に行われる。 「授業では、なぜストレスを感じるのかを考える力が身につく『認知的評価』や、人間がストレスを軽減しようとする際に、5つの方法があるいのかといった傾向を知っておくと、といわれている『コーピング』について学びます。どれが良くて、どれが悪いということではありません。自分自身がストレスにどのような反応を示しやすく、どういう対処をしやすうまくいかなかったときに、他の認知的評価やコーピングで対処するという発想の転換が可能になります」養護教諭やスクールカウンセラーは、子どもにとって悩みを打ち明けやすい存在。その子どもにストレスの対処法を教えることができれば、もっと学校生活が送りやすくなる。 「授業で自分自身の例を心理学の手法で分析したり、グループワークを通して他の学生との違いを知ることで、ストレスへの耐性が育ってきます。その経験を、将来、教育現場で生かしてほしいのです」三浦 正江 人文学部心理カウンセリング学科 教授2000年、早稲田大学大学院人間科学研究科健康科学専攻博士後期課程修了。14年から現職。「健康心理学」などの授業を担当。著書:『中学生の学校生活における心理的ストレスに関する研究』など。取材・文/野影 文香for Parent 2024506学部13学科4専攻のすべてにおいて、専門性の高い免許・資格の取得に定評のある東京家政大学には、興味深いテーマで研究を進めている教員が大勢いる。その中の一人、三浦正江教授の専門分野を覗いてみよう。
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