キャリアガイダンス保護者版2025
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「好きなこと・やりたいこと」を起点に考えてみよう…というのは進路選択時の常套句ですが、好きなこともやりたいことも特にない…という高校生も少なくありません。保護者はどのようにサポートできるのか。大人と子どもが一緒になって探究する学びを研究・実践する市川力さんにお聞きしました。力さ日常の小さな違和感を拾い、好奇心のフタを開けよう進路を考えるうえでは、自分の内面にベクトルを向け、「自分は何が好きか・何がやりたいか」を探っていく、いわゆる「自己分析」が大切だとされています。とはいえ、高校生にとってこれは容易なことではなく、苦しむ生徒も少なくありません。高校生を対象にした調査においても、「進路選択について気がかりなことがあるか」という質問に対して、3割以上の生徒が「やりたいことが見つからない、わからない」と回答しています(図1)。好きなことややりたいことを見つけるのが難しいのは、「好奇心のフタが閉じているから」と市川ん。「フタは閉じているだけで、きっかけさえあれば開く」と言います。「好奇心とは、なんか気になる、心に引っかかる…という違和感です。誰もがもって生まれたもので、生きている限り消えません。ただ、効率性や合理性が求められる日常生活においては〝どうでもいいこと〟として切り捨てられてしまい、フタがされた状態になってしまうのです」では、閉じてしまったフタを開けるには、どうしたら良いのでしょうか。「身のまわりのちょっとしたことに目を向け、なんだかわからないけど気になる…という心の動きや違和感をスルーせず、いちいち拾ってみましょう。そして、そのときに気づいたことや感じたことを記録していきましょう。すると、次第に発見の感度や観察力が高まり、閉じていた好奇心のフタが開いていきます」市川さんが挙げるキーワードが、    なったことを、〝とりあえず〟、〝あ「なんとなく・とりあえず・あてもなく・ひたすら」。何のためにやるのかといった「目標や意味を見出そうとせず、感覚・感性を働かせて体験することが大事」と言います。「日常の中で〝なんとなく〟気にてもなく〟、〝ひたすら〟、自分の手で集めてみましょう。そして、それを親子で眺めてポツポツと雑談してみましょう。〝なんとなく〟という感覚・感性は、実はとても大事なものです。AI(人工知能)がこれだけ高い能力をもつようになった今、私たち人間に残されたAIとの究極の違いは、身体性と感性です。データ分析に基づく判断や行forParent 202518一般社団法人全国高等学校PTA連合会・株式会社リクルート合同調査「第11回 高校生と保護者の進路に関する意識調査」(2023年)より長年、大人と子どもが一緒になってたくらみ、探究する学びを研究・実践。現在は、全国津々浦々で、多様な人たちが持ち前の好奇心を発揮して共に成長する場を生み出すジェネレーターとして活躍中。『探究する力』(知の探究社)、『岩波ジュニアスタートブックス 知図を描こう!あるいてあつめておもしろがる』(岩波書店)ほか著書多数。取材・文/笹原風花 撮影/竹内弘真自分に合っているものがわからない学力が足りないかもしれないやりたいことが見つからない、わからない図1進路についての気がかり社会に出ていく能力があるか自信がない自分で決断する自信がない知りたい情報を集めたり、選んでいく方法がわからない特にない経済的な理由で自分の希望がかなわないかもしれない一般社団法人みつかる+わかる代表理事市川 力さん

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