大学の約束2016-2017
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Interview:学者 未来を語るあるとき、一人の学生が突然私の担当講義に出席しなくなりました。なぜ来なくなったのか理由を尋ねたら、「受講者に外国人が多くて怖い」と。これは、日本における〝違い〞へのアレルギー反応の表れといえます。スリランカには、テレビも多言語で放映されるなど、〝違い〞に順応する環境があります。〝違い〞と正しく関わることは、グローバル社会で生きるための基礎中の基礎。戦争、いじめ、離婚など、世の中のあらゆる問題は、この基礎の欠如により生じているのです。〝違い〞との関わり方には、 〝違い〞を「受け入れる・受け入れない」、「変化する・変化しない」を掛け合わせた4パターンがあります。「受け入れない×変化しない」は「排斥」、「受け入れる×変化しない」は「住み分け」、「受け入れない×変化する」は「同化」。いずれも、間違った関わり方です。平和かつ持続可能で、発展性ある世の中を作る唯一の組み合せは「受け入れる×変化する」。ここから、みんなが共に笑い合える、すなわち「共笑」という関わり方が生まれます。大学は、未来に向けてグローバにしゃんたにしゃんた●1969年スリランカ生まれ。博士(経済学/民際学)。高校時代、ボーイスカウトのスリランカ代表として、日本で開催されたアグーナリーに参加するため初来日。山口県立大学准教授を経て、現職。専門研究分野は日本的経営・多文化共生・ダイバーシティ&インクルージョンなど。テレビ・ラジオ等にも多数出演。趣味は空手と落語。羽衣国際大学現代社会学部 教授ル教育を強化していかなくてはなりません。私の恩師がよく、「本物の学問は教室の中にはない」と言っていましたが、インターンシップやフィールドワーク、海外研修、ボランティア活動などは、〝違い〞と向き合うチャンスです。私は献血ボランティアの活動に力を入れているのですが、これはぜひ多くの学生に経験してほしい。人間は人間にしか助けられないということ、人間同士であれば肌の色や言語が違っても、助け合えるということを教えてくれます。こうした学びが、「共笑」への一歩になるのではないでしょうか。自身も日本のエスニックレストランで各国の料理を食べ歩くなど、自分なりの〝フィールドワーク〟を楽しんでいる。Photo:笹木 淳13

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