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私立大学/東京

コクサイキリストキョウダイガク

個性豊かな学びの中で趣味のフィギュアスケートをコミュニケーション論の観点から分析

清教学園高等学校
教養学部4年 河野 光咲(メジャー:メディア・コミュニケーション・文化)
※学年は、取材時のもの

ー在学生の寛容さと英語開講の授業に惹かれ、ICUを志望

 ICUを志望し始めたのは高校3年生の夏でした。関西出身のため、もともとは関西の大学を志望していたのですが、高校の英語の先生の紹介からICUに興味を持ち、キャンパスツアーへの参加や、入学案内のパンフレットを読んだことをきっかけに、ICUを目指すようになりました。
 高校3年生の夏に参加したICUの在学生によるキャンパスツアーでは、在学生と大学での学びや熱中できることなどについて話す機会がありました。ツアー学生が私自身の考えを否定せず尊重して受け答えしてくれたこともあり、在学生の寛容さを感じました。また、日英バイリンガル教育も魅力でした。もともと、高校1年生時に経験したオーストラリアへの留学を通して「英語は多角的な視点を持つための言語ツールである」と感じ、「大学では英語を用いて自分の興味を深めていきたい」と思っていたことから、英語でも授業を履修しながら、分野横断的に自身の関心を深めていける大学を探していました。
 受験には、指定校推薦入試(現学校推薦型選抜)を利用しました。一般入試と並行して指定校推薦の準備を進めていたので大変でしたが、入試対策も兼ねて、ICUを志望する理由や入学後にやりたいことをノートに言語化していったことが入試に向けた気持ちを高めることにも役立ったと思います。

ー「趣味のフィギュアスケート観戦を学問的に分析したい」という思いから、メディア・コミュニケーション・文化(MCC)メジャーを専攻

 実は入学時には、歴史学や国際関係学に興味を持っていました。歴史学については、高校で世界史の授業を受けていた時から、歴史など国の背景を知ることでそこに住む人々特有の考え方を知ることができることに面白さを感じていました。また高校生の時、小学生時代から所属していた国際NGOの活動を通じて、国際関係について知識が豊富で意見をしっかり発信できている他の国の同世代と交流することが多くあり、「自分も国同士の関係についての知識をもっと増やしたいし、意見も持てるようになりたい」とも思っていました。
 しかし入学後に、MCCメジャーの青沼智先生による授業「ヒューマン・コミュニケーション言論」を受講したことをきっかけに、MCCメジャーの学問領域の1つである「コミュニケーション論」に面白さを感じ始めました。MCCメジャーの学問領域は広く、「メディア研究」、「コミュニケーション論」、「通訳と翻訳」、「言語と社会」の4つの領域に分けることができますが、「ヒューマン・コミュニケーション言論」は、その「コミュニケーション論」に焦点を当てた授業です。この授業で印象に残っている考え方は、まず実際に起きているコミュニケーションを「発信する人」「受け取る人」「ノイズ」といった要素に分解していくことです。そして、それぞれの要素がどのように関わっているかを図式化することで、コミュニケーションの成り立ちを考察します。身近な例として、「東京オリンピック開催に対する抗議活動」を考察すると、開催を支援する一部の人たちにとっては、抗議の声はメッセージではなく、単なる「ノイズ」として受け取られており、観点の違いによってはコミュニケーションが成り立たない場合がある、という図式を想定することができるのです。
 コミュニケーション論の観点を用いることで、卒業研究として趣味のフィギュアスケート観戦を学問的に分析することができるのではないかと考えたことも、MCCメジャーを専攻することを後押ししました。現在、卒業研究では、フィギュアスケーターと観客の間に生まれる「非言語のコミュニケーション」の特徴を分析しています。具体的には、直接点数に還元される「ジャンプ・スピン・ステップ」のような演技を「言語的」、「姿勢・表情・滑り」のような点数には直接結びつかないものを「非言語的」と示した上で、「競技審査と観客が求めているコミュニケーションには乖離がある」という仮説を検証したいと思っています。分析には、スポーツ誌や選手が出演しているドキュメンタリーやインタビューなどを用いて、選手が演技に込める思いや向き合ってきた困難、観客が注目している点などにも焦点を当てる予定です。ただの趣味としてではなく、研究として好きなフィギュアスケート観戦に向き合うことができるのは、専攻にとらわれず多様な学問分野に触れながら、研究に熱意をもって取り組む在学生と、その熱意に柔軟に応えてくれる先生が多くいるICUだからこそできることだと感じています。今は「楽しい」と思いながら参考文献を集めています。

ーICUの寮のような、一人一人の個性が尊重される人々の居場所を増やしていきたい

 昨年1年間は、コロナ禍により実家で過ごしていたのですが、今年からは再び寮生活を送っています。寮で友人と話す機会は、コロナ禍以前に比べ減ってしまいましたが、それでも交流は続いています。最近でも寮の共有キッチンでの料理中やリビングでの勉強中に偶然会った友人と授業が大変だったことや打ち込んでいることなど色々なことをお互いに打ち明け、とても励まされました。
 コロナ禍以前は、夜、寮のリビングで5〜6人くらいで話すことがよくありました。印象に残っているのは、ある人の恋愛の失敗談がジェンダーの分野の話にまで広がっていったことです。その時は、日本で育った学生だけでなく、アメリカで18年間過ごしてきた学生や、シンガポール国籍の留学生、タイに3年間住んでいた学生など、様々な背景を持つ学生とそれぞれの視点で恋愛について話し合いました。そのときに出た「日本には『女はこうあるべき』『男はこうあるべき』といった概念が残っている」という話題に対して、「日本のこういったドラマが人々の恋愛観を形作っている」と、MCCの研究と関連する部分があることに気づくこともありました。例えばMCCメジャーもジェンダーの学問領域と重なる部分があるように、1つの専攻にとらわれないICUだからこそ、寮生活のような授業外の日常の場面でも、学生同士の会話から思わぬ学びを得ることができます。
 ICUの寮は、背景が全く異なる学生同士がお互いを尊重し合える場所です。私にとって貴重な場所であると同時に、今後は私自身がこうした場所を増やしていきたいと考えています。卒業後は就職しますが、こうした場所を作るための準備も行っていきたいと思っています。

(記事:ICU学生記者 尾畑 翼)
国際基督教大学(私立大学/東京)
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