私は「地域づくり」に関する研究をしています。地域の風土や文化の影響は大きく、特に離島などの島嶼(とうしょ)地域やへき地では、個人の健康行動だけでなく地域のヘルスケアシステムの構築にも影響を与えていると考えています。島嶼・へき地は地理的に不利な面が取り沙汰されがちですが、それを上回る住民同士の互助が存在しています。そういった地域の良さにもっと注目し、「強み」として活かすことが地域づくりのモデルになると思います。当の地域の方々は強みだと気付いていないことが多いのですが、その強みを顕在化し、地域の方々が自ら気付いて決めて、行動して、継続している…そんな状況をつくるのが従来からの保健師の役割であり、常に「生活者」の視点を持ち、地域と交流・協同していくことが健康な地域づくりにつながると考えています。
人間の行動は自由に選択しているようでも、実際には地域風土や文化の影響を受けており、健康行動も然りです
主に健康増進看護を担当。看護職は障害や病気の有無に関わらず多様な地域で生活するあらゆる年代の人々が対象なので、1年次に「看護職」「生活者」の両視点を習得するための授業を実施。その視点から多様な生き方があることを理解し、対象と向き合うことで「自分らしさ」を尊重した支援ができるよう頭づくりと身体づくりを行います。また公衆衛生看護学の基礎や対象の特性に応じた活動方法などをグループワークや演習を通して学び、3年次には学生全員が県内で保健師としての実習を実施。地域づくりの一端を担う看護職の育成を目指します。
身近な地域へのフィールドワークを通して住民と交流し、地域の成り立ちや歴史から「生活者」の視点を習得
総合大学で学ぶことは専門的な知識・技術が身に付くだけでなく、様々な分野で学ぶ仲間や研究者との出会いも魅力の一つです。誰もが健康に過ごせる地域づくりを実践できる看護職を目指して一緒に思考しましょう。
「思考する人の素地を作ることで看護師や保健師、どんな仕事に就こうと活躍できる人になってほしいです」
専門:地域看護学
鹿児島県 中種子町役場で保健師として勤務後、2010年より青年海外協力隊員としてネパール国シャンジャ郡保健事務所で活動。帰国後、特定保健指導専門相談員等を経て、2013年より鹿児島大学で保健師教育に従事しながら鹿児島大学大学院保健学研究科、同博士後期課程に入学、自らの学びを深める。2022年3月退職後、現職。今も種子島をはじめ、各地域を訪れて地域づくりの研究に励んでいる
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