日常生活や災害時における人命、生活、財産を守るための社会インフラ構造物(橋や道路、ダムなど)には、人工的な材料や自然由来の材料など、多種多様な材料が存在します。これらをどう連動させていくかを体系的に学ぶのが、社会インフラ材料学です。特に社会インフラ構造物は、長期に渡り大量に使用されるため、廃棄物や微生物などの未利用資源の有効活用も必要。そこで新しい材料として、コンクリート内部の酸素を微生物(納豆菌)の呼吸や茶カテキンが持つ抗酸化作用によって抑制し、鋼材の腐食を防ぐ材料の開発を進めています。また既存の構造物が災害時に十分な性能を発揮できるか、常に把握する必要があります。この際に必要となる非破壊検査、性能評価、対策などの要素技術や、これらを判断・選定するための維持管理システムも構築しています。
実際に構造物の維持管理の様子を視察し、状況を把握した上で対策を判断しています。
社会インフラ材料学は、巨大構造物を学問の対象としています。研究するうえで実際の構造物をイメージすることが欠かせません。そのため授業や実習では、構造物やコンクリート、鋼材料の製造工場を見学し、そこで見聞した知識を体現することを基本としています。例えば構造物の維持管理方法を知りたい時には、ROV(水中ラジコン)を使って海中にある構造物の点検を体験するなど、五感をフルに活用して学びを進めていきます。またゼミでは、国内外の他大学と合同ゼミを実施し、自分の考えを理論的に相手に伝える方法を身につけていきます。
海中の構造物を点検するROV(水中ラジコン)。実際に岸壁などの状況を視察し調査していきます。
社会インフラ材料学は決して派手ではありませんが、すべての人がその効果を享受する領域です。将来、国民生活の土台を守る仕事をしたい、ゼロから新しいものを作っていきたい皆さん、ぜひ飛び込んでみてください。
「土木工学科は、工学的な視点で本質を見極め、これからの防災を提案できる人材を育成します」
専門科目:社会インフラ材料学、コンクリート工学、維持管理工学
東京工業大学大学院理工学研究科土木工学専攻修了後、東京工業大学大学院理工学研究科国際開発工学専攻 助教、京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻 特定准教授、電力中央研究所地球工学研究所 主任研究員、港湾空港技術研究所構造材料研究領域 主任研究官等を経て、2022年静岡理工科大学理工学部土木工学科教授に着任
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