人体や人工臓器の性能を調べる計測技術と、人工臓器の性能向上に関する研究に取り組んでいます。もともと化学プラント(石油などの原料から化学物質を生産する工場や設備)を造る「化学工学」という学問に興味があったことから、学生時代は化学プラントと人体の共通項を見出し、人体の状態を測定することや、人工臓器の機能向上をめざす医用化学工学に没頭しました。例えば「血液の流れ」は、ポンプから送り出された液体が配管を流れる様子と見立てることができます。すると、血圧を測ればポンプ(心臓)の力や配管(血管)の状態が判る。また、人工腎臓(血液透析器)では、水分や身体に不要な物質を効率よく除去する必要があります。これを化学プラントでの反応と置き換えて計算することで、より効率的な人工臓器の開発に役立てたいと考えています。
長期にわたる治療で身体への影響も大きい血液透析。患者の負担軽減のため人工腎臓の性能向上に取り組む
高度医療機器の操作や保守管理を行う臨床工学技士にとって、電気・電子工学をはじめとした「工学」は非常に重要な学問です。しかし同時に苦手意識をもつ学生がとても多い分野であると小川准教授は言います。小川准教授の講義では、前回の講義や他の科目とのつながりを意識した指導を行うとともに、小テスト等を用いて学生一人ひとりの理解度を把握。併せてグループワークによる補習を実施し、学生同士での学び合いを通して苦手分野への理解を深めると同時に、チーム医療の一員として欠かせない協働力・コミュニケーション力を育みます。
基礎段階での理解の取りこぼしなく応用へとつなげるため、丁寧な反復学習を心がけているという小川准教授
ニュースを見て世界や国内、身近な地域で何が起きているのかを知ることはもちろん、興味のある分野があるなら、関連した雑誌などを読んでもいいですね。そうして得たものは将来、意外なところで役立つものですよ。
同じ臨床工学科の山本准教授とは一学年違いの同窓生。学生時代は同じ研究室で研究に取り組んでいたそうです
専門分野/医用化学工学
略歴/早稲田大学大学院理工学研究科・博士後期課程を修了後、早稲田大学先進理工学部応用化学科に助手として着任。2008年より同大学大学院理工学研究科にて研究助手を務める。2010年、川崎医療福祉大学医療技術学部臨床工学科にて講師として就任した。2017年より現職。
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