運動において筋肉が発揮する能力に着目し、生体工学的な側面から研究しています。研究に用いるのは「筋電図(入力信号)」と「筋音図(出力信号)」の二つの生体情報。これらを組み合わせることで、その人固有の筋肉のパフォーマンスが可視化できます。目標は、身体に負担をかけず、かつ簡便に筋電図と筋音図を測定できるセンサの開発と、評価方法の確立。運動によってパフォーマンスの向上が見えることは、運動継続のモチベーションアップにつながります。同時に、介護施設や家庭におけるリハビリテーションの評価、嚥下(飲み込み)の力など、これまで病院でのみ検査が行われていたことがより身近となり、ロコモティブシンドローム(歩行などの移動能力が低下し、衰えた状態)やサルコペニア(老化による筋肉減少)予防にも貢献できると考えています。
福原先生が担当する授業のひとつ「生体機能代行装置学実習」では、循環器治療に用いられる医療機器の管理・操作を学びます。臨床工学技士が扱う医療機器は多種多様。工学・医学の幅広い知識や技術の修得が欠かせません。特に患者の循環(心臓や肺の機能)を機械で代替する「ECMO」や「人工心肺」における操作は、安全や精確さが求められます。実習では臨床現場を模擬した緊迫感のあるシナリオを用意し訓練を実施。現場での他職種との関わり方や声掛けを理解し、治療を円滑に進めるためのコミュニケーション能力の獲得を重視しています。
やるべきことが“できた”という体験が、責任感や自己肯定感を高めることにつながります。そして、やりたいことに挑戦することで自由な発想・発見があるかもしれません。失敗も人生の糧。自信をもってやってみよう。
専門分野/医用生体工学、臨床工学
略歴/高松工業高等専門学校を卒業後、同専攻科および徳島大学大学院工学研究科を修了。その後、川崎医療短期大学臨床工学科(現:川崎医療福祉大学 医療技術学部臨床工学科)で学び、臨床工学技士〈国〉を取得。同大学卒業後は急性期病院にて臨床業務に携わった。2014年、川崎医療福祉大学に助教として着任。2019年より講師となり現在に至る。博士(保健学)。