子どもの虐待予防の観点から、親性(おやせい)の発達について研究しています。まだ虐待が世間に認知される前、保健所職員として虐待事例に遭遇したことがきっかけで、虐待予防の研究やボランティア活動に取り組むようになりました。虐待の早期発見をはじめ虐待予防の一支援として親性を発達させていく必要があるので、妊婦健診等で保健教育や愛着形成の支援を行い、出産時には自分のお産を肯定的に捉えられる体験を通して親性を育てていきます。そのため、女性が母になっていく過程をプロとして支える看護職を育成しています。患者さんに寄り添い、心から安堵できる存在になって欲しいですね。
また、働く女性として女性特有の困難さを理解するにはジェンダーの視点が必要不可欠。地域活動などで、生涯を通じた女性の健康を支援する研究も続けています。
保育器を使用した実習も。生まれてすぐ高温環境で過ごせば、新生児黄疸などの生理的現象が軽減するのだとか
医療現場での事故やヒヤリハットの事例は薬剤関係が非常に多いのが現状だ。そのため、患者のそばにいる看護職だからこそ見える観点から、薬理の知識や技術を活かすことが必要だそう。「薬学部と連携して実践を育む演習を構想しています。一方通行の講義だけでなく、シミュレーションやグループ・ワークを重ね、根拠や理論に基づいて考え、ケアに繋げられる力を育みます」臨場感とリアリティを伴った授業展開がポイント。「これからは地域包括ケアの時代。病院完結ではなく、地域に繋げられる力もつけて欲しいです」と思いを語ってくれた。
首がすわっていない新生児を抱くにはコツが必要。人形を使った実習で、母親への指導方法を学ぶ
人は役割を与えられることで、役割を全うしようと成長していきます。色々なことに興味関心を持ち、さまざまな人と関わることで、在学中にメンバーシップもリーダーシップも発揮できる素地を育てて欲しいですね。
「地域が私を育ててくれた」と語る平田教授。今も講演会などを続け、地域の人々との繋がりを大切にしている
九州大学医療技術短期大学部看護科卒業後、福岡県職員に採用。看護師・助産師として、病院だけでなく看護専門学校や保健所など地域での活躍の場を広げた。久留米大学大学院医学研究科博士課程修了。九州大学医学部保健学科などで教鞭を取りながら、地域貢献活動にも積極的に取り組み、持ち前の明るさで人脈を広げた。その華麗な人脈を駆使し、本学でも多様な実習先を実現させ、多彩な講師陣を招へいし、盤石の体制を構築する。
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