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私立大学/東京

トウキョウヤッカダイガク

新しいPCRシステムの構築を目指す -- 遺伝子検査をより多くの人に

薬学部 生体分析化学教室 森岡 和大 助教
新型コロナウイルス(COVID-19)のクラスター対策には、できるだけ多くの国民を対象として遺伝子検査を実施することが重要だと言われています。しかしながら、遺伝子検査には高価な専用装置と専門性の高い知識・技術をもった人材が必要なため、思うように進んでいないのが現状です。そこで、簡便かつ迅速に遺伝子検査を実施できる新しい分析技術の開発を目指し、ガラスキャピラリー(細長いガラス製の管)を利用する分析手法の研究に取り組んでいます。

【キャピラリーPCR -- 少数の検体検査をよりスピーディーに】
遺伝子検査によく利用されるリアルタイムPCRは、「試料と試薬を混ぜた溶液を異なる温度で加熱処理し、蛍光シグナルを検出する」という操作を数十サイクル行うことにより、目的遺伝子の増幅・検出を行います。1サイクルの操作は、二重らせん構造のDNAを一本鎖に引き離す「熱変性」、一本鎖DNAとプライマーを結合させる「アニーリング」、DNA ポリメラーゼによって対となる塩基配列を構築する「伸長反応」、目的遺伝子の量を検出する「蛍光検出」が含まれます。これらの操作は「リアルタイムPCR装置」により実行されます。この装置は、多数の検体を一挙に検査することが可能ですが、単一のヒーターで温度制御を行うため昇降温に時間を要します。一方、キャピラリーPCRは、溶液を入れたガラスキャピラリーを複数の小型定温ヒーター上や検出デバイス内を移動させることで温度制御・検出を行います。キャピラリー内の溶液は数 µL と微少量であり、加熱・冷却を迅速に行うことが可能です。ヒーターの温度を変更する必要がないため、昇降温の時間を短縮できます。キャピラリーPCRはリアルタイムPCRと比較して、少ない数の検体を迅速に検査することを得意とします。
現在、開発したシステムを用いる新型コロナウイルス感染症検査を検討しており、装置の評価とともに実用化への準備を進めています。人々の安全・安心な暮らしを、分析装置の開発から支える研究をこれからも続けてまいります。
東京薬科大学(私立大学/東京)
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