海水浴の一番の思い出は海の家のカキ氷!という人がいるかもしれません。古くから日本では海・湖・川などの水辺は憩いの場として親しまれてきました。水を抑え込む「治水」という考え方が主流になると生活から切り離されてしまいましたが、最近は重要な環境資源として水辺にふたたび注目が集まり、海の家以外にも川辺・湾上での飲食店営業やイベントなどが行われるようになってきました。親水工学研究室では、人と水とのかかわり、自然との共生という視点から、水に親しむための街づくりや建築計画を研究しています。国内外で数多くの現地調査を行い、憩いという「恩恵」と津波・洪水という「脅威」の両面から先人たちの知恵と科学を組み合わせることで、「治水」ではなく「親水」をキーワードに人・水・建物・街のより良い関係を探っています。
広島市内を流れる京橋川のほとりには、地元の食材が楽しめるオープンカフェがお洒落に並んでいます
菅原先生は調査研究の第一歩として「現場」を知ることを重視しています。その場に足を運び、話を聞き、人・自然・建物との関係を体感することがすべての出発点。その考えは学生の指導にも活かされ、毎年、竹を使った日除け施設「Bamboo Pargola」をお台場海浜公園に設置しているのもその一例です。竹材の伐採・加工から砂浜での施工までを行うプログラムですが、モノづくりを体験するというだけでなく、自分たちが作った空間が人々にどのように受け入れられているかを肌で感じることができる貴重な学びの場となっています。
農地への被害が深刻な里山の竹林拡大。その対策として竹を活用する「Bamboo Pargola」
水辺の空間デザインから海上都市構想まで、人と水にかかわる研究ができる学科です。教室を飛び出して現地調査を実施する機会もあり、自然を尊重しながら生きる人々や建物から多くのことを学ぶこともできます。
横浜においてスタンド・アップ・パドルボードを用いた水上アクティビティ活動も展開
専門:親水工学・地域計画・建築計画
略歴:2010年、日本大学理工学部海洋建築工学科卒業。2012年、同大学院理工学研究科海洋建築工学専攻修了。同年、株式会社長谷工コーポレーションに入社。2015年、日本大学理工学部海洋建築工学科助手。2017年から現職。2015年からは、横浜の水辺利用の活性化を目的とした水上アクティビティ活動などを展開する一般社団法人「水辺荘」の理事を務めている。
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