夜空の美しさを数値で表して、世界中の誰にでも伝わる“価値”にする研究をしています。きっかけは、福井県の星空の美しさに感動したこと。市街地から車で20分たらずの場所にもかかわらず、くっきりと見えた天の川が忘れられません。歴史を紐解いても、星空に刺激されて生まれたことがたくさんある。これは世界に共通する価値だと思いました。こんな美しい星空を、地域の価値として目に見えるようにしたいと思ったのです。
星空の見えやすさには様々な要因があります。その一つが夜空の明るさ。これを正確に測定するため、ドローンや地上センサーを開発したり、NASAの人工衛星などから様々なデータを収集し、星空の見やすさを数値化しています。超小型人工衛星を開発して、必要な情報を、大学独自に直接収集することにも取り組んでいます。
星空観測の参考になる20時~22時頃の福井上空のデータを収集。大学独自の超小型人工衛星の開発にも取り組む
中城先生の研究テーマは、リモートセンシング・ビッグデータ解析など、幅広い情報分野の学びと結びついています。例えば地上に設置するセンサーを高性能化する研究、小型人工衛星の開発、自作ドローンの製作、それを用いたデータ収集など、学生は先生と相談して興味にそったテーマに取り組んでいます。
ゼミ独自の機械を開発してデータ収集に取り組むことも多いため、作る難しさと楽しさを味わえるのも魅力。うまくいくときもあれば、想定外の理由で失敗することも。試行錯誤の時間が、卒業後も役立つ力を育みます。
自作の「缶サット/空き缶サイズの模擬人工衛星」を目的地に落下させる大会に、学生主体で挑戦したことも
私は、星空を見て「ああキレイだな」と思ったことが出発点。研究に没頭していくとそういう素朴な感覚を忘れがち。専門知識を身につけることは必要ですが、社会に役立てるには多くの人の共感を得ることも大切です。
データを活用すれば地域の価値になり、街づくりになる。情報技術を地域の活性化に役立てたい
専門分野: 衛星データの利活用、ドローンを活用したリモートセンシング、福井工業大学あわらキャンパス衛星地上局を用いた衛星運用。
略歴: 東北大学理学部宇宙地球物理学科卒業、同大学大学院理学研究科地球物理学専攻 を修了。博士(理学)。福井工業大学講師、准教授を経て、福井工業大学教授に就任。
※この画面の情報は、すべて取材した時点でのものになります。