ことばの入口(聴覚)と出口(声帯・発音器官)を取り扱う耳鼻咽喉科医として医学的側面から聴覚、音声、言語、嚥下障害を研究し、言語聴覚士と連携して臨床に生かすことに取り組んでいます。とくに力を入れているのは子どもの聴覚障害です。子どもの難聴はことばの遅れに、ことばの遅れは学業の遅れにつながります。でも、早期に発見、検査、診断確定ができれば、人工内耳や補聴器による聴覚補償を得て普通校で学び、進学することも可能になります。その鍵を握るのが、正確な検査・評価と、補聴器や人工内耳の装用後長期にわたって寄り添い、適切な訓練ができる有能な言語聴覚士です。医師と言語聴覚士がタッグを組めば難聴の子どもの人生を変えることもできます。高い能力をもつ言語聴覚士を育てることも私の大事な役割だと思っています。
大学医学部の学位研究から一貫して聴覚、音声、言語、嚥下障害を研究しています
ことばを聞いて理解する、ことばを発するという人間に特有の機能に様々な角度からアプローチ。「音とは何か?」から始めて、発生発語器官の構造や仕組みにつなげ、最終的に病気によるコミュニケーション障害までを一貫して理解できるよう1年次から授業が組み立てられています。現役専門医ならではの臨床例がふんだんに盛り込まれた内容で、学生の興味を刺激します。西澤先生をはじめとした医師、歯科医師の授業で築かれる確かな医学的基盤は、様々な言語聴覚障害をより深く理解するための助けとなります。
検査に使用する音響分析装置は、耳で聞いただけではわからない詳細な情報を数値化。音が見える!
歌が好き、子どもが好き、心理学に関心がある、国語やことばに興味がある、高齢者を支援したい、栄養・食事面から一人ひとりのケアを考えてたどり着いた…、学びの動機が様々あるのもこの分野の個性です。
「患者さんを思う気持ちを、科学的な視点をもつ高い専門性で表現しましょう」と科学者らしいエール
北海道大学医学部卒業後、国立身体障害者リハビリテーションセンター病院、北海道大学病院で言語聴覚障害分野の臨床経験を積み、2008年北海道医療大学教授着任。同年、大学病院に音声言語聴覚専門外来を開設、現在も担当医として臨床に立つ。歌が大好きで「声のお医者さんになりたい」とこの分野に入ったが、「まさか、こんなに広く深く大きな世界が待っていたとは!」と笑う。
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