医薬品は臨床試験の後に国の承認を経て、使われるようになります。しかし年齢や抱えている疾患、併用している薬など条件は患者さん一人ひとり異なります。そのため、限られた患者さんを対象にした臨床試験だけでは有効性や安全性を計りきれない部分があります。それに抗がん剤など、医療に必要なものですが高額な薬も増えています。これらが本当に価値に見合う価格なのかは実際に使わないと分かりません。医療の現場で医薬品を使いながら、良い点も悪い点も含めたデータを蓄積していきます。蓄積されたデータを解析して得られた情報は、国の政策決定や医療機関での医薬品の選定、医薬品の価格決定などに活用できます。薬に関する臨床データを集め、解析し、より良い薬を“育てていく”こと。そのために必要な研究を日々行っています。
コンピュータから医薬情報データベースにアクセス
週に2~3回のペースで、共同研究先の先生を訪問する機会があります。その際に患者さんの既往歴や薬歴、生活習慣などの情報を提供していただき、データベースに落とし込み、傾向について分析して医療機関や患者さんの役に立てています。他にも薬局が主催する薬剤師の勉強会への参加など、学外で医療者の方と接するさまざまな機会があります。授業では知りえない、医師や薬剤師の治療に対する考えや、実際の処方について知ることができるのも魅力の一つ。学内にとどまらない、外にひらかれた研究室で視野の広い薬剤師を目指せます。
医療機関のデータは研究室内のコンピュータで分析する
薬剤師には、正しい医療情報を選択し、分かりやすく伝えることが期待されます。身の回りにあふれる沢山の情報から、本当に必要なものを見つけ出す。そんなアンテナを持つように心がけてください。
●専門分野:薬剤疫学、薬剤経済学、薬剤師介入研究
●最終学歴:米国ノースキャロライナ大学公衆衛生大学院(2007年5月卒業)、Ph.D.(公衆衛生学)取得
●主な学会活動:社会薬学編集委員長・常任幹事(2010-)、臨床薬理編集委員(2011-)、日本薬剤疫学会理事(2015-)、ISPOR日本支部評議員(2015-)、日本アプライドセラピューティクス学会評議員(2015-)
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