臨床の先生方や学生から「川村先生の専門分野は何ですか?」という質問を受けるときがあるのですが非常に返答に困ります。なぜなら、臨床では多くの患者さんを担当し、その年代は新生児~高齢者まで、疾患は神経系・運動器系・内部系と多岐に渡ります。1つの分野に精通していても臨床で求められていることには対応できません。前職のリハビリテーションセンターで臨床に携わっていた頃、不安に苛まれている様々な患者さんとその家族を前に、理学療法士として「この分野は専門外なのでわかりません」という言葉を到底出すことはできませんでした。今でも全ての分野に対応できる理学療法士を目指しています。そのため、専門分野を問われたときは「小児と運動器疾患が最も得意な分野で、特に専門分野を持たない理学療法士です」と答えるようにしています。
卒後教育にも力を入れています。先輩や卒業生との交流で生まれた仲間は悩みを相談できる一生の財産です
川村先生は、運動器系運動学・運動器系理学療法学・研究法を担当。座学で学んだことを実践できるよう、模型を使用したり、演習を通して、学生が理解しやすい授業を行っている。また、クラスを少人数の班にわけ、授業の後半にはクリニカルクエスチョンを実施。「臨床現場で直面する疾患を例に、その原因を各班で話し合うことで、学生自らが考えて答えを導き出す力を身につけることが目的です」と川村先生。教わるのではなく自ら考える力を鍛えることに重点を置いた授業では、学生同士が活発にディスカッションを繰り広げている。
授業時間以外でも、学生の不得意分野を克服するためにはとことん勉強につきあう
病院・診療所・介護施設をはじめ、スポーツ領域、小児領域、公的施設など理学療法士は多領域で活躍できます。どの領域で活躍したいかは自分次第。患者さんとその家族のために汗をかける人、ぜひ一緒に学びましょう。
同校の教員を務める傍ら、整形外科クリニックと介護老人保健施設で理学療法士としても活躍中
専門/理学療法学
1999年、土佐リハビリテーションカレッジ卒業後、奈良県心身障害者リハビリテーションセンターで理学療法士として活躍。2006年より、同校の理学療法学科で教員として学生を指導。鈴鹿医療科学大学大学院 修士課程修了 (2012年)。【業績】・日本理学療法士協会 ガイドライン・用語策定委員会背部システマティックレビュー班班員(第2版)ほか【分担執筆】運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学 ほか
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