建築設計学科では、優れた建築の専門家が備えている「物事の本質を探る力」を養います。では、物事の本質を探る力とはどんな力なのか?どうやって養うのか?学生の作品を通して、吉田 裕彦先生が解説します。
作品を通じて学生は、「伝える力」を磨きました。
製作過程での意見交換から重要な気づきを得ることもあります。
病院や介護施設は、医療や介護の専門家のニーズに基いて作られています。ところが、そのニーズは正しく建築設計家に伝わっているのだろうか?看護師でもある学生が、自身の経験から生み出した作品は、両者の意思疎通をスムーズにするためのカードを使ったツール。相手の思いを理解し、自らの思いを伝えるという、コミュニケーションは物事の本質にたどり着くための欠かせないプロセスです。そのことに着眼し、形にした作品です。
題材は京都の古民家。歴史ある建物を将来に引き継ぐ方法を考察した作品です。特徴的なのは、間取や蔵書の量など、細部まで徹底的に調べたこと。これは建築で言う「調査」です。そして、調べた情報の「分析」を行ったうえでリノベーションプランを立案。調査と分析は、実際の建築の仕事では大部分をしめる重要なプロセスです。また、情報は実体験することで得られるものも多い。「実体験」も、本質を知るための重要な要素です。
学生の出身地は奈良県明日香村。観光マップは充実しているものの、地元で子育てをする学生にとって、「本当に役立つ情報」は不足していました。そこで、母親の視点と建築の知識を活かし、安全性や居心地、使い勝手の良さなどからおすすめエリアをピックアップした地図「ママップ」を作成しました。建物にとどまらず街づくり、さらに子育てと、視野を広げることで物事の本質に迫り、建築による問題解決を提案した作品です。
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