最後の盛りつけ。自然と顔が引き締まります
格式と伝統を誇る帝国ホテル東京。こちらのフランス料理店「レ セゾン」が私の職場です。すべてのお料理に、ティエリー・ヴォワザンシェフのこだわりが詰まっているので、どんな小さな工程でも気を引き締めて望んでいます。現在私が担当しているのは、魚料理の付け合わせ。ある日、1人のお客様から「この魚の付け合わせ美味しいわね。おかわりをいただける?」と言っていただいたことがあったんです。この時、私が作ったのは、ヴォワザンシェフのスペシャリテである「じゃがいものピューレ」。付け合わせは、いわばメインを引き立てる脇役のような存在ですが、それにもかかわらずこのようなお言葉をいただけたのは、とても励みになりましたね。
高校生の時、落ち込んだ友だちを元気づけたくて、合宿先でカレーを作ったところ、それまでシュンとしていた彼女の顔が、みるみるうちに笑顔になったんです。その光景を見て「料理ってこんなに人を元気づける力があるんだ!」と実感。自分の料理でもっとたくさんの人を笑顔にしたいと、調理師を志しました。東京誠心に入学した後、帝国ホテルの田中健一郎総料理長の講演を聴講したのですが、田中総料理長の料理を食べたお客様たちみなさんが、本当に幸せそうな笑顔を浮かべていたんですね。「自分が目指していたものはコレだ!」と直感し、すぐに担任の先生に相談したところ、偶然帝国ホテルの2次募集の話をいただき、就職試験を受験したんです。
今日の付け合わせは、イカを使ったスペシャリテ
2年生の時、先生に勧めていただいて、グルメピックという調理技術コンクールにエントリーしました。東京予選を勝ち抜いた参加者だけが全国大会に臨むことができるのですが、結果は残念ながら予選突破ならず。その時、どちらかというと諦めが早い性格の私が、涙が出るほど悔しい!という思いをしていることに気づいたんです。それと同時に、こんなにも諦めずに頑張れる自分がいたことがとても嬉しかったし、コンクール期間中本当に大変でしたが、人間として一回り成長できたのではないかと思います。結局、この頑張りのおかげで、先生に帝国ホテルの2次募集に推薦していただけたので、今振り返ると自分の将来にもつながった印象深い出来事ですね。
とても気さくなヴォワザンシェフ(写真左)
株式会社帝国ホテル調理部レストラン調理課勤務/調理師科2年制/2012年3月卒/東京誠心では、1年次に和・洋・中すべての料理を学び、基本をしっかり身につけたことが様々な場面で役立っていると話す種子田さん。「レ セゾン」の中で紅一点の種子田さんの夢は、女性シェフのさきがけ的存在になること。「やはり、この業界はまだまだ男性が多いのが現状。いつか後輩の女性たちのモデルケースになれるようなシェフになって、女性の業界進出の一助となれたらと考えています」と熱く語ってくれた。
※この画面の情報は、すべて取材した時点でのものになります。
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調理技術の基本から応用まではもちろん、食品衛生学や栄養学、マネージメントまで幅広く学ぶことができます。料理の中でもとくに基礎となる技術は、同校独自のカリキュラムである習熟度制で「できるまで」徹底的に指導します。1年次は、フランス・イタリア・日本・中国料理の基礎を学び、2年次からそれぞれの専攻へ進み専門技術を磨きます。フランス料理専攻では、基礎から応用まで、本場で修業を積んだ専任の教授が、より高度な調理技術、食材の見極めやメニューづくり、デザインにいたるまで徹底指導。また、フランス語などについても合わせて学び、文化面からの理解も深まるようなカリキュラムを組んでいます。