運動機能や感覚に障害のある子や発達障害児に対して、次の発達に繋げるためにどうアプローチしていくか―。それを教えるのが私が担当している「発達領域」の作業療法です。例えば、寝返りをうてない赤ちゃんに体を使うコツがつかめるように運動を行ったり、物がうまく掴めない子に積木遊びで指のトレーニングをしたり。一見遊んでいるだけのようにも見えますが、遊びのなかで子ども達の発達を促していくことが重要な鍵になってきます。私自身30年以上にわたり、肢体不自由児通園施設や特別支援学校などで子ども達と接してきましたが、最近は保育園や小・中学校の通級指導でも発達障害児へのケアなどで作業療法士の力が必要とされるシーンが多くなってきました。今後ますます教育・保育現場などへ活躍の場は広がっていくと思います。
ブロックを同じように再現する「視空間認知」のトレーニング
授業では、乳児期の原始反射や姿勢反応などを動画や写真を見ながら学び、次の発達へ進めるためにどうアプローチしていくかを学生たちが検討します。また実際に体育館で身体を動かしてみて、体感的に身体の動きや運動の機能を学ぶことも。障害や発達をイメージしやすいように工夫された授業を展開しています。「現場を離れた知識はドンドン古くなる」という考えのもと、特別支援学校の教育支援員や近隣保育園にて発達相談を行っている林先生が、多くの事例を授業に取り入れ、今の現場で求められている作業療法についても伝えています。
手の麻痺や指をうまく動かせない子どもが使えるよう工夫された箸や食器など、「自助具」を学ぶ授業も
「遊ぶ」ことが子どもの活動。だから、遊べるようにすることが子どもの作業療法といってもいいでしょう。作業療法士の仕事は決まった形があるわけではありません。何事にも興味をもって挑戦できる人を待っています!
専門科目:作業療法(発達領域)
作業療法士・教育学修士
3年制専門学校にて作業療法士の国家資格を取得し、肢体不自由児通園施設に9年間勤務。95年多摩リハビリテーション病院(旧:梅園病院)に入職。翌年多摩リハビリテーション学院(19年4月より多摩リハビリテーション学院専門学校)へ異動。副学院長兼教務部長。東京都羽村特別支援学校、多摩桜の丘学園などでの教育支援員、近隣保育園にて発達相談を行う。東京都作業療法士会副会長。
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