私が担当しているのは建築材料学、建築設計製図、建築施工、建築計画などです。材料から設計、実際の施工まで、幅広い分野の中でもそれぞれの基礎となる部分を主に受け持っています。建築というのはそれぞれの工程がばらばらで存在することはありません。完成形を想定して使う材料を考え、設計し、計画通りに組み立てていく。それら全てが建築なのです。工程ごとに日本人らしいきっちりとした気質のようなものを感じ取ることができますし、完成した時の姿に日本人的な美的センスが宿るのも当然のこと。日本人が作るから日本人の美的感覚に訴えてくるものになるのです。そういう日本人が日本人らしく生活してきた中でいつも隣にあったものが日本建築。その設計理論や技術はもちろん、文化的な背景なども広く深く伝えていきたいと考えています。
「建築材料学」は木材などの性質を学ぶ学問。木の種類はもちろん、樹齢などによる特性の違いを学びます。
「日本には日本ならではの生活様式があります。その中でできた建物が木造住宅。『このような木造住宅があれば生活がより豊かになる』ということを意識しながら学んでもらえると、学ぶ意欲がさらに高まると思います」。そう話す中里先生の授業は懇切丁寧であることが特徴です。用語のひとつひとつにまで気を配り、できるだけわかりやすく説明してくれます。「日本建築には長い歴史があります。この学校で4年間学んでもまだわずか4年。学生にはその重みを感じながら謙虚な姿勢で日々学び続けて欲しいと願っています」と語ってくれました。
「技術はもちろん、日本建築の歴史や背景も学び、ものの考え方も身に付けていって欲しい」と語る中里先生。
茶碗やお椀などの器に美しさを感じるように、日本の伝統建築も日本人ならではの美学を感じることができる奥深く魅力的な世界です。私自身もいろいろなことを学んでいる最中です。その神髄をいっしょに学びましょう。
群馬県出身。永六輔さんのラジオ番組を聞いて知ったことがきっかけで日本建築専門学校に進学。平成21年(2009年)3月に卒業し、関東学院大学大学院の工学研究科 建築学専攻 博士前期課程に進学。学園初の大学院進学者に。同大学院を修了して木造住宅専門の工務店に就職後、2012年2月より日本建築専門学校の教員になり、現在に至る。
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