患者様の気持ちをくみ取れる作業療法士が目標です
作業療法士は、身体機能を回復するためのリハビリだけが仕事だと思われがちですが、さらにその先にある「その人らしい生活を送る」ためのお手伝いをすることが私たちの仕事です。私が担当する患者様の多くは骨折や内臓疾患で入院されています。私は大学でのゼミがきっかけで、特に排泄機能のリハビリテーションの勉強を続けていますが、たとえば患者様に頻尿がある場合は、おむつをして入院生活を送ることになります。そういった患者様には頻尿を改善する、骨盤底筋の訓練をします。「頻尿まで作業療法士の仕事なのか」と驚かれるかもしれませんが、「当たり前の生活」に近づくサポートができるこの仕事にやりがいを感じています。
祖母が療養施設に入ったときに何もできなかったことが心残りで、医療の仕事に興味を持ちはじめました。また手に職をつける意味でも、医療職を将来の選択肢として考えていました。そんな中、高校での「大学の講義体験」の一環として、新潟医療福祉大学の作業療法科の先生がいらして講義をしてくれました。そこで「作業療法士は身体障害だけではなく、精神障害の領域まで、幅広いリハビリテーションに関わる」ことを知り、以前から精神分野にも興味があったこともあり、作業療法士という職業に魅力を感じました。
「生活を見る」ことが作業療法士の仕事です
作業療法というと「道具を使ったリハビリ」のイメージがあり、そういう内容を初めから学べるのだと、入学前の私は思っていました。でも実際には、まず生理学や運動学などの基礎をしっかり叩き込まれます。たとえば一年次には筋肉・骨・神経をひたすら覚えました。当時は同級生と「こんなはずじゃなかった」と慰め合いましたが(笑)、これを覚えていないとリハビリテーションの仕事は成り立たないことが、仕事の経験を積んだ今ならわかります。先生方は、いいことだけでなく自分の失敗談も教えてくれました。ただ「資格を取らせる」のではなく、「作業療法士の先輩として後輩を育てる」使命感をもって教えていただいて、とても感謝しています。
上司と相談しながらリハビリを進めていきます
新潟医療生活協同組合木戸病院 リハビリテーション科勤務/医療技術学部 作業療法学科卒/2017年卒/「患者様の『今までできたことができない』ことへの悲しみをくみ取り、思いやりをもって生活を見ることを心がけています」と語る。共に4年間を過ごした同級生とは男女の別なく連帯感があり、職場の近い同級生とは卒業後も定期的に情報交換をしているとのこと。休日には全国各地で開かれる排泄リハビリテーションの勉強会に参加するなど、多忙な日々を送っている。
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