作業療法の現場では、患者さんの約半数が脳卒中に起因する障害をお持ちです。後遺症として身体の一部に麻痺が残り、食事や着替えなどが難しく、日常生活に支障をきたします。そうした方々を、訓練により動作回復に導くのが作業療法士の仕事です。作業療法で多くの方が、日常生活の動作ができるまでに回復します。麻痺の回復は自然回復に依るところが大きいのですが、時には自然回復だけでは説明がつかないほど麻痺が回復する患者さんがいます。そうであれば、麻痺の回復を促せるのではないか?これには「有酸素運動が有効なのではないか」と考えているのが、私の研究です。有酸素運動と作業療法を組み合わせることで、麻痺の自然回復効果を向上させられるかもしれません。既に動物実験では一定の効果が見られ、現在、詳しいデータを収集しています。
30分以上の有酸素運動をした後に作業療法を加えることで、麻痺の自然回復を促す可能性を研究する林先生
作業療法の現場では、患者さんへの訓練の「良し悪し」を深く検証しないまま、慣例的に行っているケースが見受けられます。一概にそれが悪いこととは決めつけられませんが、これらのケースは「どんな時に」「何のために」行われているのか、わからないまま実施されているのではないでしょうか。私の授業ではこれらのことを曖昧にせず、先行研究を題材にして、これまで作業療法の技術がどのような歴史を辿り、どこに向かっているのかを知ることで、「正しいこと」「間違っていること」を客観的に判断できる力を養っています。
林ゼミのテーマは「Exercise is Medicine」(運動は薬である)。先生の最先端研究にも触れられます
学生想いの教員・職員が集まる星城大学。周りの先生方を見ても、本当に学生のためを想い実践的な授業を用意されています。質問に来た学生へ最優先で対応される先生方から「正しいこと」がわかる環境が整っています。
名古屋大学大学院医学系研究科リハビリテーション療法学専攻博士課程(後期課程)修了。作業療法士。岐阜中央病院、岐阜大学医学部附属病院を経て、2006年より星城大学リハビリテーション学部に着任。現在も臨床現場に立ちながら、後進の育成のため講義にも力を入れている。担当科目:作業療法評価学、運動学II、身体障害作業療法学II、 身体障害作業療法学実習、日常生活活動学実習 ほか
※この画面の情報は、すべて取材した時点でのものになります。